日系企業にとってのインド市場進出の手伝いをしている中で、兎にも角にもインド市場というのは難解であり、日系企業での成功事例が少ないという話を多数聞く。確かに、現状でインドで成功している日系企業はどこか?という問いに対しては、マルチスズキやホンダの二輪などが挙げられると思うが、スズキは80年代から進出し、既に30年近くをインド市場とともにある。ホンダも同様だ。そういった意味では、長い歴史を持つ企業のみの成功事例というkことしか現状はないのかもしれない。
そもそもなぜインド市場が日系企業にとって難しいのか、というのを考えてみると、人種や民族、宗教、言語の違いや広大な国土を持つが故の気候の違い、所得格差があることが前提であり、一概に「インド人」といっても生活レベルも教育、知識のレベルも異なるいわゆる「多様性に満ちた」社会を、単一尺度でモノを見がちである日系企業から見た時の理解の難しさというところがある。
また、理解が難しいというところだけではない。デパートやハイパーマーケット、スーパーマーケットといったいわゆるチェーン系のリテールも数が限られており、市場の多くがパパママストアで占められており、営業攻略の難しさという所も指摘される。
では、そのパパママストアを攻めればいいではないか、と思うが単にそれらの店舗に対して営業をかけるだけではなく、倉庫の置き方、物流のさせ方、代金回収の仕方、それらに関わるディストリビューターの使い方、等チャネル政策も極めて複雑である。
しかしながら、理解の難しさやチャネル政策の煩雑さというものがインド市場への参入障壁なのだろうか? 確かにこれら二つが参入の妨げになっているという指摘は正しいのだが最大の参入障壁は実は他にあるのでは、と最近思う。
インドで既に顕在化しているカテゴリに市場参入をしようとすれば、競争相手はインド地場の会社だけではなく、世界中どこでも見かけるようなグローバルガリバーとの競争が待ち受けている。日用消費財であればユニリーバやP&Gといったグローバルプレーヤーにさらに地場の大手企業、食品であればネスレもインド市場に大々的に投資している。家電を見れば、韓国のサムスン、LGも幅を利かせる。
こういったグローバルレベルで強い競合が既に現地でシェアを持っていることを考えると、市場理解やディストリビューション網の整備といった所は着実に時間をかけて整備したとしても、競合の強さ、目立った新規参入組が出てきたときの競合の一歩先を打つ手、という所が実は一番のやりづらさを持つところなのではないか、と。
そうなってくると、既に市場進出をしている強い競合と同じ目線だけで戦うという選択肢を持つのではなく、彼らが未だ展開していない新規カテゴリの創出を考えるということが、今後インド市場にうって出ようとする日系企業にとっては重要なのだろう。

