社内の関係性を向上させるために~ワーキングウーマンのためのアドラー心理学

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2014/11/18  (1/5ページ)

<主な登場人物>

主人公 鈴木 美香(32歳):中堅メーカー勤務 就職氷河期を乗り越えて入社したこの会社で、10年間営業事務スタッフとして勤務してきた。控え目ながら真面目でコツコツ努力し、後輩の面倒見が良いところが評価され、半年前から「主任」の肩書がつき、いわゆるプレイング・マネージャーの立場でチームをまとめることになった。それまでの上司は温厚な委任タイプで、美香とも相性が良かった。しかし最近、人事異動があり、剛腕で強気なタイプの上司が新任の課長として着任した。

華子先輩(35歳):Cafe de Adler 店主 大学院修了後、臨床心理士として病院や学校に勤務していたが、途中でアメリカの心理学大学院へ留学。帰国後、同職の夫とカウンセリングルームを開設した。最近、長年の夢であった悩める人々の語り場としてのカフェをカウンセリングルームに併設して開店したばかり。華子にとって美香は大学時代の後輩で、妹のように可愛がり、何かと面倒を見ている存在。

◇後任は“冷たい”後輩

 鈴木美香が主任として活躍するようになり2年が過ぎたある日、美香に人事異動の内示が出た。人事部で社員教育を主任担当するよう、人事部長から直々のスカウトがあった。 佐藤課長は「鈴木さんがこの課から抜けるのは痛手だけれど、人事部長から期待されて招かれているんだから、君にとっては大きなチャンスだ。人材育成は君にぴったりだから、きっと活躍の場が広がるよ。がんばってくれ」という言葉があった。美香ははじめこそ戸惑ったものの、研修の仕事については興味があったのでこの内示を受けた。

 異動は1ヶ月後、その間に2年後輩の中村優子に主任としての引き継ぎを行うことになった。中村は聡明な優等生タイプ、プライドが高くてやや近づきにくい雰囲気もあったが、美香は中村が後任と聞いて納得した。中村も次期主任に抜擢され、戸惑いながらもやる気を見せてくれたので、美香は着々と引継ぎを始めていった。美香のきめ細やかな指示や説明に、中村も必死でついてきた。しかしながら、通常業務や後輩の指導を掛け持ちしながらの引き継ぎは、日ごろの多忙に拍車をかけた。毎日、走り回るような日々が続いて美香も心に余裕がなくなってきた。

 幸い、努力家で優秀な中村は自ら業務フロー表や引き継ぎメモも完璧に作り上げていったので、安心した美香は中村に仕事をほとんど丸投げ状態にし、いつも結果報告を受けてその確認と評価をしていた。中村が報告した後は「すごいじゃない!素晴らしいね!」と賛辞を送り、朝は「がんばって!」と励ましていた。中村はいつもあまり表情を変えずに、そっけない返事をするだけであった。

 そんなある日、美香の長年の顧客B社から電話で苦言があった。「鈴木さんの後任の方、昨日話したけど、なんだか冷たいのね。事務的で親身さがないわ」と言われてしまった。仕事に追われイラついていた美香は中村のところに行き、語気を強めて言った。「中村さん、B社の担当は難しい方だから、人一倍気をつけてって言わなかった?今、あなたが冷たいって言われちゃって」すると中村は目に涙をためて「やっぱり私には鈴木さんの後任はできません」と言い、気分が悪いと早退してしまった。

 美香は頭を抱えた。久しぶりに華子先輩の顔を見たくなり、カフェに向かった。

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