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ことしもあと半月あまり。「年賀状」はもう書きましたか。メールやSNS(交流サイト)でのやり取りが増え、手紙やはがきを出す機会はめっきり減ったという方もいらっしゃると思いますが、年賀状は別でしょう。暑中見舞いや季節の便りは書かなくても、「年賀状だけは」という方が多いのではないかと思います。

実は年賀状には、2つの意味があります。

●1年の健康や活躍を祈る気持ちをやりとりする

●近況をそっと伝える習慣がある

ビジネスパーソンならば、新しい年を迎えての「決意」や「目標」を上司やお取引先に伝えれば評価の材料になりますし、お世話になっている方や好意を抱いている方には「日ごろのお礼」と「今年もよろしくお願いいたします」というあいさつができる、数少ない自己表現の場なのです。

誰しも、初対面の際は身だしなみや自己紹介などに気を配りますよね。少しでも好感を持っていただけるように、言葉づかいや身ぶり手ぶりなどに細心の注意を払うと思います。

しかし、親しくなるにつれて、つい気を抜いてしまうのが人の常です。例を挙げれば、ついしゃべり過ぎる、話の腰を折る、相手のプライベートな領域に踏み込む……。悪気がないのは相手も分かってはいますが、「親しさも、長じればずうずうしさ」になりかねません。

定番フレーズだけで満足していませんか?

年賀状は新年を迎え初めて交わす「コミュニケーションツール」です。先にお話しした2つの意味のほかに、お付き合いができる喜びを伝え、出会った時の感動を思い起こし、感謝を伝える。年賀状には良い意味で、お付き合いを正す役割もあるのです。

そんな大切な役割を果たす年賀状なのに、多くの方が「あけましておめでとうございます」「本年もよろしくお願いします」「謹賀新年」「迎春」と書かれた、あるいは印刷された年賀状を使われています。絵柄はたいてい干支(えと)のイラストか、結婚式、子ども、ペットの写真などが幅を利かせています。

なかには、宛名も中身もすべて印刷だったり、自社のPRが大半を占める年賀状もあります。また、送ってくださった相手が誰なのかが、ひと目で分からないものや、ひどい場合は先方の住所と氏名が抜けているものまであると聞いたことがあります。

これでは、せっかく年賀状を準備したのに、相手にはその気持ちが届かず、意味が薄れてしまいます。

せっかくの機会に存在感をアピール

「年賀状を書かない人が増えているのだから、出すだけでも価値がある」。これは友人の発言なのですが、確かに出さないよりは良いでしょう。でもせっかく出すならば、多くの人と同じような「定番フレーズ」だけで満足してはもったいないです。

繰り返しますが、年賀状は新年を迎え初めて相手と交わす「コミュニケーションツール」。あなたはその場にいなくても、年賀状はあなたの代わりに語っているのです。

せっかく新年早々にいただいたコミュニケーションの機会なのですから、あなたの存在感をアピールしてみましょう。ただし、誤解をしないでくださいね。「存在感はさりげなく」が基本です。笑いを取りにいく「仮装写真」や、ウケを狙っての「ブラックジョーク」は、存在感はありますが相手を選びます。

ビジネスシーンでお付き合いしている方への年賀状は、定番フレーズである「あけましておめでとうございます」「本年もよろしくお願いします」「謹賀新年」「迎春」などに、ハートフルな一言を添えることをお勧めします。

年賀状を読み終えたとき、その方に会いたくなる、話をしたくなる、仕事始めが待ち遠しい……。相手をそんな気持ちにさせることができたら「存在感」はたっぷり。年賀状一枚であなたの印象は格段にアップします。

ストレスなくスイスイ書く秘訣

「そうはいっても年賀状は何枚も書くのだから、長い文章はごめんだ。文字が汚いから手書きは避けたい」といった気持ちはよく分かります。私自身、少なくても100通は書きますから、長文だと疲れて途中で嫌気が差し、(悪い意味で)適当な文章になりかねません。

義務感に駆られて書けば、その気持ちは不思議と文字に表れます。すてきな一言が浮かび、その文字を添えたとしても、相手の心を捉えることはできません。

ことさら長文を書く必要はありません。「あけましておめでとうございます」と印刷された文面に、手書きで一言添えるだけでもいいのです。ですからストレスを感じることはありませんし、文字がうまくないことはあまり気にしなくていいですよ。

学生時代に恩師から、「臼井さんの字は象形文字。解読するのに時間がかかる」――そんなお叱りを受けた私ですから、今でも「美文字」とはほど遠いです。私のように文字に自信がない人は、次の方法を試してみましょう。

●右肩上がりに書く――文字の横棒が右肩上がりになっていると、カッコよく見えます。

●等間隔で書く――「三」や「白」などの空間がある文字は、等間隔で書くと読みやすくなります。

何よりも丁寧に書くことだけ気を配れば、乱筆も味わい。あなたの魅力です。

「最高の結果を出す人」は、年賀状にひと言添えている

毎年出すものなので、何を書けばいいのか、思いつかない方もいるでしょう。ここで昨年私が書いた年賀状から、いくつかご紹介します。まずは、三行文です。

誕生日が1月の方には――

あけましておめでとうございます。
○○さん、もうすぐお誕生日ですね。
さらなる魅力アップとご活躍を楽しみにしております。

ご無沙汰している方には――

あけましておめでとうございます。
「今年こそ、お会いしたいですね」を言い続けて○年。
もう先延ばしはしません、仕事始めの日に連絡いたしますね。

次に「ひと言添え」をご紹介します。万能フレーズとしては――

・最高の年になりますね
・2017年は、最高で最幸。間違いなしです
・輝きあふれる一年になりますね

ユーモアが効いたフレーズでは――

・2017年は○○様活躍の年、世間が放っておきません
・○○プロジェクトの成功に、年末は大笑いしていますね
・「働きすぎ注意報」にお互い気をつけましょうね

上司やお取引先様には――

・私の今年の目標は「○○様のお役に立つこと」です
・○○様に教えていただいたおかげで△△に成功しました
・○○を達成すると、ここで宣言させていただきます

ちょっとした「ひと言」を添えるだけですが、年賀状がハートフルなメッセージに変身します。

会話は、相手を前にしたり、声を出すときだけではありません。メールやメモ、手紙。なかでも年賀状は、相手がいつもよりゆったりと、新鮮な気持ちで読める絶好の機会なのですから、ぜひ書いてみましょう。「一年の計は元旦にあり」と言いますが、一年の計は元旦=年賀状が握っているといっても過言ではありません。

 「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は12月21日の予定です。

[2015年公開の日経アカデミーの記事を再構成]

臼井 由妃(うすい・ゆき)
1958年東京生まれ。健康プラザコーワ、ドクターユキオフィス代表取締役。理学博士、健康医科学博士、MBA、行政書士、宅地建物取引士、栄養士。33歳で結婚後、病身の夫の後を継ぎ会社経営に携わる。次々にヒット商品を開発し、独自のビジネス手法により通販業界で成功をおさめる。日本テレビ「マネーの虎」に出演。経営者、講演者、経営コンサルタントとして活動する傍ら、難関資格を取得した勉強法も注目される。ビジネス作家としても活躍。著作は50冊を超える。

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