【Web講座】ロジカルシンキングの達人になる

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2016/3/9  (1/3ページ)

 この季節になると、少し前に終わった学期についてのアンケート結果が集まってきます。それを参考に次年度の授業内容を考え始めるわけですが、この「アンケートから引き出す考察」は、しっかり考える必要があります。「受講生はこう答えた」というデータは事実なのでそれ以上変わりようがありませんが、「そこから何が言えるのか?」は、パッと最初に思いつくことが間違った判断であるケースがよくあるからです。

 もちろん、これは受講生アンケートに限った話ではありません。いろいろな状況で、我々が最初に「ということは、こうでないか?」と考えることは、しばしば間違っています。なぜそうなるのか、どうしたらそれを正せるのか、また最初に出る答えを正しくする確率を上げられるのか。今回はこれらについて書いてみたいと思います。

顧客の要望に応える、という最初の答えが間違っているとき

 僕がコースリーダーを務める「論理思考とリーダーシップ」という科目は、11人いる他の先生方にも全クラス同じ内容を14回に渡って教えていただくのですが、そのうちの一人と話していたときのことです。その先生が「いやあ、楽しくやらせてもらいました。受講生の感想の中に『先生のビジネスの話をもっと聞きたかったです』という感想が多かったのはうれしかったですね」と言われました。

 では、来年度はその先生にもっとビジネスの話をしてもらうべきでしょうか? 「顧客の要望」にそのまま応えるならそういうことになります。

 しかし、この要望については少し注意する必要があります。この「論理思考とリーダーシップ」という科目では、その名が示すように、受講生が考える機会、そして行動する機会をなるべく多く作る必要があります。もし先生のビジネスの話を増やすことでそこに支障が生じるなら、目的に合っていないことになります。

 もちろん、そこまでの量ではなく、むしろ受講生に「将来のために自分もやってみよう」と思わせる効果があるなら、望ましいことです。どちらであるかは一概には言えないため、注意が必要というわけです。

 このように、顧客の要望などからパッと最初に出てくる答えが、実は本来の目的と合っていない場合、その答えは間違っている恐れが高くなります。逆に言えば、常に「目的に照らして判断する」ことが、最初から正しい答えを出す確率を高めます。

 このように、目的に照らして考えると、「顧客の要望に応えるべきではない局面」は実は珍しくありません。どんな領域で特に起きやすいか考えてみると、

・技術の発展でこれまでと大幅に違うやり方が可能になった領域(ITはその典型例)
・世の中の考え方を変えようというとき(例えば今ならば子育てや女性の社会参加をもっとやりやすくすること)
・教育やトレーニングのため、快適さとは逆行する必要があるとき(顧客の要望は快適さを求めていることが多いですが、それはしばしば教育やトレーニングには逆行します)

が挙げられるでしょう。

 なお、上記3点のようなことをいろいろな具体例から抽出するのも論理思考です。具体例(例えば)に共通する「要は」を引き出しているわけです。

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