【Web講座】梶原しげるの「プロのしゃべりのテクニック」

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2016/2/25  (1/5ページ)


「自己を再構築する必要性を痛感する時期」が訪れる

 覚せい剤事件の清原和博容疑者について、関係者から様々な感想が述べられた。私の印象に残ったのは関係者の一人が述べたこんな言葉だった。

 「彼は、スター選手を終えた、その先の役割を見つけることができなかったのではないか……」

 国民的スーパースターが犯した“犯罪”は徹底的に究明されるべきだし、彼の愚行を同情する気などはさらさらない。そのことを前提に、本稿を強引に一般的な「我々の話」に広げてしまうことをお許し願いたい。

 おぎゃあと生まれてから成人し、年老いて死ぬまで。人生全体を見わたしてそれぞれに時期の心の変化や特徴、それぞれの時期に立ちはだかる課題を研究するのが「ライフサイクル」とか「発達心理」と呼ばれる分野だ。

 発達心理学で著作の多い、広島大学教授の岡本祐子さんたちが編集された入門書の一つ「エピソードでつかむ生涯発達心理学」では、30代後半から50代の中年期に起きる危機について、こう記している。

「……中年期は体力の低下、時間的展望の狭まり……様々な限界感の認識(など)……大きな変化が体験されます」

「(中年期は)自分の人生はこれで良かったのか、本当に自分のやりたいことは何なのかという、自分の生き方そのものについての内省と問い直しを迫ります……」

「……青年期に獲得したアイデンティティーが改めて問い直され、それまでの人生の見直しとこれからの生き方の模索を経て、再び納得できるアイデンティティーが再構築される……」

(『エピソードでつかむ生涯発達心理学』岡本祐子/深瀬裕子編著、ミネルヴァ書房)。

 冒頭「極端な例」を出して恐縮だったが、普通の「中年」だって、いや普通だからこそ問題を抱えながら自問自答を繰り返し、「自己を再構築する必要性を痛感する時期」が訪れる。

 ライフサイクルにおける「この時期のこの記述」に「なるほど……」と共感する人も少なくないのではないか。

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