【Web講座】梶原しげるの「プロのしゃべりのテクニック」

この記事をはてなブックマークに追加 この記事をmixiチェックに追加
印刷
2016/3/31  (3/5ページ)

素敵な表情を撮るには「具体的な戦略」が必要だ

 昔、ペットと一緒に泊まれるホテルをテレビの取材で訪問したことがある。ここのウリの一つは、ペットの「とびっきりの表情」を撮ってくれるプロカメラマンの存在だった。

 よほど躾(しつけ)の行き届いたペットを除けば、慣れない場所で大きなカメラを突きつけられ「ルルチャーン! いつもみたいに可愛い顔、ちなちゃーい」と幼児言葉で諭すように言っても、その通りにしてくれることは期待できない。

 しかしそこのカメラマンは、アシスタントが「ゴムの笛などの道具」や「特製の餌」、そして「独特の声かけ」を巧みに用いてペットの表情を上手に引き出し、そこをカメラマンがすかさず撮影。見事な「ベストショット」が生まれていく。

「心を通わす」「思いを伝える」「気持ちを届ける」ではなく、「具体的な戦略」をしっかり駆使していればこそだと感心した。

 「人間撮影にだって、実際に役に立つ戦略と技が使われているはず!」

 そう思い、複数の図書館で「写真撮影のテクニック」に関する書籍をアトランダムにチェックすることにしたが、思ったものを見つけることができなかった。

 カメラマン君が「レンズなどの機材選択、自然光からストロボの当て方、色味、構図、トリミングなど、メカニック情報は満載なのに比べると、被写体にどう働きかけるか、についての技術はあまり語られていない」と言ったとおりだ。

 探し方が悪かったのかもしれないが、チェックした数十冊の中で唯一、私の求めたもの近いと思われたのがこれだった。

 「被写体とのコミュニケーションをうまくとること。相手の気持ちを和らげるような優しげな言葉やユーモアあふれる演出などを通じてリラックスさせることが大切。<笑って!><いい表情をして!><顔が硬いよ!>などという直線的な言葉を投げかけると、相手はかえって萎縮してしまう。最初は何気ない会話から入っていき、徐々にカメラマンのペースに巻き込んでいくように心がけたい……(おしまい)」

 この“名著”がさらに一歩踏み込んで、「具体的な技」を教えてくれたらもっと嬉しかったのになあ……。

>> やっぱり「寅さん」はすごい

<< >>
バックナンバー

この連載の一覧
著者プロフィール

この著者の連載一覧

  • 【Web講座】梶原しげるの「プロのしゃべりのテクニック」