【Web講座】梶原しげるの「プロのしゃべりのテクニック」

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2016/3/31  (4/5ページ)

やっぱり「寅さん」はすごい

 「レンズを通し、撮影者の愛と思いをしっかり伝えよう」

 「シャッターに心と気持ちを乗せ、被写体と丁寧につながることが肝心だ」

 「思い」も「気持ち」も「心」も「愛」も極めて大事なことは理解できるが、私のようなバカには「具体的なノウハウ」が述べられていないのがちょっぴり残念だ。

 なーんて、ひねくれジジイがほざいていたら、友人が「<寅さん映画>に集合写真を撮る面白いシーンがあったはずだ……」と言い出しスマホ検索を始めた。

 「やっぱ、Wikipediaにあったよ」――まるで手柄話のように検索結果を差し出してきた。

 Wikipediaによれば、男はつらいよ第9作、吉永小百合さんがマドンナ役で登場した「柴又慕情(1972年8月公開)」で寅さんが集合写真を撮られるとき、「はい、チーズ」と言おうとして、うっかり「はい、バター」とやって大爆笑、との記述がある。

 「なるほど、集合写真で<チーズ>とやるのが当時の流行だったんだ! それを寅さんが<バター>としくじったところにおかしみが?」

 理屈をこねる私を無視して友人はさらに検索。そのシーンの詳細な記述を引き当てた。抜き書きしてみる。

寅さんと知り合った女性の一人が集合写真を撮ろうとカメラを構えたらしい。

女性:「写すわよー! はい笑ってー」

寅さん:「バタ~!!」

頓珍漢な一言に、微妙な反応。

みんな:「……!?」

寅さん「あっ、間違えちゃった。あれ、チーズなんだよね、ハハハ!」

(一同爆笑)

 ここでシャッターが押されたとすれば、「笑顔あふれるベストな1枚」を撮ることができたのだろう。これはコミュニケーションの天才、寅さんの戦略だったかもしれない。

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