研修最前線

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2015/7/8  (1/2ページ)

 眼鏡専門店「JINS」を約290店展開するジェイアイエヌは、入社2年未満の従業員が約6割を占め、平均年齢は28歳という若い会社だ。ここ3年で店舗数が2倍弱に急拡大したこともあり、経験不足から店舗スタッフの接客能力の低下が指摘されていた。まずは上司が範を示すべく、昨秋から店長・副店長向けの接客のロールプレイング研修を導入。全社員を対象にしたeラーニングも拡充している。

店員役と来店客役

 「眼鏡選びに悩んでいる客に話しかけられない店員がいる」と田中仁社長が嘆くほど、事態は深刻化していた。店ごとの接客やサービスのばらつきも目立ち、待ち時間が長くなるなどの問題も発生していた。経験不足は若手社員だけでなく、パートら非正規社員にも同様の問題だった。職場内訓練(OJT)を通じて指導するには、まずは手本となる店長・副店長クラスの研修で接客能力底上げを図る必要があった。

眼鏡販売のロールプレイング研修では、40パターンに及ぶ指示書の内容に沿って客を演じる眼鏡販売のロールプレイング研修では、40パターンに及ぶ指示書の内容に沿って客を演じる

 店長・副店長クラス向け研修では、「遠近両用眼鏡」「サングラス」などカテゴリー別の座学が終わるやいなや、接客ロールプレイングの実習が始まる。30人弱の参加者が2人一組となって6分間、店員役と来店客役を演じる。「いきなり眼鏡の話はしない」ことが条件で、世間話から入り、徐々に相手のニーズを探る接客術を訓練する。

 「接客の際、手を上に持ってくることによって顔に注目が集まり、より話を聞いてもらいやすくなる。うまい人は目線を自分に持ってくることができる。身ぶり手ぶりは大きく、手は腰より下に下げない」。講師役の大野司・店舗教育グループスーパーバイザーの指導に、参加者がうなずく。再度、6分間のロールプレイングが繰り返された。

 特筆すべきは40パターンにも及ぶ来店客の設定の多さだ。年齢・性別・嗜好といった属性だけでなく、欲しい眼鏡、来店動機、心理状況などが細かく記された「指示書」を基に客を演じる。天候や来店時刻まで決められているのは、「今日はあいにくの雨で大変ですね」などとスムーズな声かけにつなげるためだ。

 「子供に眼鏡を壊された」「最近、遠くが見えない」といった、指示書ごとに異なるニーズや来店動機を接客を通していかにして聞き出すかの試行錯誤が続く。ペアを変えながら反復することで少しずつコツをつかんでいく。

eラーニング充実

 グランデュオ立川店(東京都立川市)の高野智一副店長(25)は「日常会話から入る接客はやっていなかった。実際にも生かせそう」と手応えを感じている様子だった。

 大ヒットしたPC眼鏡の反動減などに苦しんでいたJINSの既存店売上高は4月、20カ月ぶりに前年同月比プラスに転じ、続く5月もプラスを確保した。一過性の動きにしないためにも、接客能力はさらに磨きをかける必要がある。研修は毎月続け、全正社員・エリア正社員へ広げていく予定だ。

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