研修最前線

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2015/7/22  (1/2ページ)

 若手社員や管理職向けの研修を開催し、多くの企業から引っ張りだこの人材育成会社がある。家電量販店ノジマ傘下のビジネスグランドワークス(BGW、東京・中央)で、アース製薬や大塚製薬など約900社の研修を手掛ける。2泊3日の研修を1カ月で約40社手掛け、異動期や入社シーズンの4月は約80社にのぼるという。多くの企業から頼りにされるBGW流研修の秘訣を探った。

課題を皆で討論

研修では社員同士が返事や人間関係について議論する研修では社員同士が返事や人間関係について議論する

 5月下旬。神奈川県伊勢原市の研修施設に入ると、大人数が「はい!」と叫ぶ声が聞こえてきた。BGWが主催するノジマの管理職向け研修合宿の一コマだ。今回の対象はテレビ売り場のリーダーたち15人。いかにもベテランといった風貌を備えた社員もいるなか、ひたすら「はい!」と言い続けている光景は、一見異様だ。だが、研修が終わる頃にはみな、晴れ晴れとした表情に変わる。この研修の意図は何だろうか。

 「仕事のスキルを磨くだけではなく、仕事そのものに対して前向きな姿勢になってもらうことがBGW研修の目的」と話すのは、BGWの宮崎雅吉社長(69)だ。大企業の研修を請け負うBGWは、業務上必要な技術の習得のみに焦点を当てがちな社内研修では引き出すことが難しい、「前向きな志向」と「一歩踏み出す行動力」に重点を置くという。

 その前向きさや行動力は、どうすれば引き出せるものなのだろうか。例えばBGWが指導する研修では、一つの課題について皆で討論する「事例研究」という機会を多く設けている。5~10人のグループに分かれて、人間関係における課題などについて語り合ってもらうのだ。

 例えば「前の課長は自分と仲良くしてくれたから成果を出せた。でも新しい課長からは声もかけられず、なんだか仕事にやる気が出ない」という誰しもが似たような経験のある問題をテーマとして取り上げるとする。社員同士で語り合うことで、「人付き合いが悪い課長のせいだ」「課長が代わるまで適当にやり過ごそう」といった正直な意見が出るが、言葉に出したりそれに同調したりすることで「そうは言っても、それでは生産性がない」と気付くという。最後には「人のせいにしていると何も解決しない。自分からコミュニケーションをとった方がいい」と理想的な回答にまとまることが多いという。

声は意欲の表れ

宮崎社長宮崎社長

 宮崎社長は「最初から『こうしましょう』という理想論を押しつけてもすぐ忘れる。議論して自分たちで導き出した答えだからこそ、研修が終わっても印象に残る」と話す。

 また、最も重視するのは返事の指導だ。就職試験で最後に残った2人のうち1人を選ぶ際には、声の大きさや笑顔の印象がいい人を採用する傾向にあるという。「それほど大切だった『元気に返事をする』という基本的なことも、管理職になると忘れている」(宮崎社長)。しかし「声は意欲の表れ。小さい声で返事をすると相手に気が乗っていないことが伝わるし、自分の仕事の効率も悪くなる。大きな声を出していると自信も付いてくる」と説く。

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