ソーシャルビジネスが拓く新しい働き方と市場

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2012/12/11  (1/4ページ)

 社会起業家、ソーシャルビジネスに対する関心が高まっています。

 私が社会起業という言葉に出会った2001年ごろには「社会起業家という言葉を聞いたことがある」という人はほとんどいませんでしたが、現在では随分増えています。

 と同時に、「社会起業家は起業家と何が違うの?」「あらゆるビジネスは社会の必要から生まれているのに、なぜ社会起業というの?」「小さい事業規模の社会起業が本当に社会を変えるの?」という質問をいただくことも増えました。

 現在の日本社会は、どこか閉塞感があります。また、格差の拡大などグローバル資本主義の課題も大きくなっています。そんななか、「ビジネスを通して社会を良くする」とは、どのようなことなのでしょうか?社会起業家と呼ばれる人たちは、どのように考えているのでしょうか?

 この連載では、社会起業家の仕事や意義、背景についてご紹介しながら、一人ひとりのビジネスパーソンは社会課題の克服に何ができるのか、共に考えてみたいと思います。

◇   ◇   ◇

企業は「社会的利益」を生み出す装置でもある

 「自分の仕事は、本当に社会に役立っているのだろうか?」

 仕事をしていて、ふとそんな風に感じる人は少なくないのではないのでしょうか。学生や求職中の人は「社会に役立つ仕事がしたい」と思う人も多いでしょう。

 社会に役立つ仕事はたくさんあります。鉄鋼メーカーがつくった資材はビルや家、自動車などに使われ、大手スーパーは新鮮な野菜や生活に必要なものを安価に人々に届けています。公務員の仕事も人々の生活を支える大切な仕事です。すべての仕事は誰かの役に立っているものなのに、なぜ社会起業家というコンセプトが必要なのでしょうか?

 資本主義において「企業」とは、資本と資源を集め、そこで人が働くことで富を生み出す経済活動の装置のことを意味しています。企業は経済的な富を生み出すだけでなく、地域資源の活用、働き手や家族の集積とそこから生まれるコミュニティ形成、インフラ整備、製品・サービスによる顧客の生活や仕事の充実など様々な社会的な価値も生み出しています。

 ただ、企業の本質はあくまでも経済的成果を生み出すことにあり、多くの企業にとって社会的利益は配慮したり、波及効果として生み出したりできる「正の外部性」ということができます。例えば、「わが社は事業利益を出し、税金を収めることで社会に貢献する」という場合、事業利益が出れば税金を収めますが、利益が出なければ収めません。事前に決めた税金額を支払うために会社を経営しているわけではないので、税金を通した社会貢献は「正の外部性」となります。

>> 社会的成果と収益の両立が存在目的である企業

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