社会起業家インタビュー ~社会問題に挑戦するイノベーターたち~

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2013/4/9  (1/5ページ)

 急速な経済発展の陰で、貧富の差がますます広がっているインド。総人口10億人のうち、実に35%が貧困層と言われている。富裕層が豊かな生活を送る一方で、貧困層は日用品にも困窮、たった1枚の衣類を買うためだけに高利貸しから借金をする人も多いという。アンシュ・グプタ氏はこういったインドの貧困問題解決のため立ち上がった、社会起業家の1人。富裕層から回収した古着を貧困層の労働力と交換するというユニークな手法で、インドの貧困問題に取り組み、国際的な社会起業家支援団体・アショカから世界をリードする社会起業家=アショカ・フェローに認定されるなど注目を集めている。2013年3月、来日したグプタ氏に事業の概要と今後の展望について聞いた。

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■遺体で暖をとる少女

 インドの中流家庭で生まれ育ったグプタ氏。病弱な父に代わって幼いころから家計を助け、アルバイトをしながら大学院に進学、ジャーナリズムと経済学を学んだ。インドの貧困問題には在学中から問題意識を持っていたが、具体的な行動を起こしたのは、卒業後のこと。ある貧しい少女との出会いが、彼の背中を押した。

 ジャーナリストとして新聞社で働いていた1992年、取材先のある町で、リキシャ(人力車)の運転手・ハリブさんと知り合いになりました。彼は遺体の運搬が専門で、路上で亡くなった方の遺体を1体50セントで運搬していましたが、収入が少ないために生活は困窮。冬の寒さをしのぐ暖房も持っていません。そのため、彼の6歳になる娘さんは、冬の寒い夜、なんと父親が回収してきた遺体に寄り添って眠ることで、寒さから身を守っていたのです…。貧しい彼女たちにとっては、単なる冬の寒さでさえも、命を脅かす「災害」になります。

 また貧困層の女性の多くは、生理用ナプキンはおろか、その代用品にするための清潔な布すら持っておらず、そのために毎年、多くの女性が感染症で命を落としています。不衛生な環境で、貧しさに喘ぎながら暮らす彼らを間近に見ているうち、「このままではいけない。自分が何かをしなくては」との思いが、フツフツとわき上がってきました。

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