社会起業家インタビュー ~社会問題に挑戦するイノベーターたち~

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2013/2/26  (1/5ページ)

 金融の新しい流れとして注目されている「社会的投資」。経済的なリターンだけでなく、事業が社会に良い影響を与えるか否かを重視して投資先を選ぶのが特徴だ。日本における社会的投資の先駆けとして知られるARUN(アルン)合同会社では、2009年に第1号ファンドを立ち上げて資金を調達、カンボジアの社会的企業への投資を積極的に行っている。社会的投資がもたらすインパクトとはどのようなものか?「寄付」や「支援」とはどのように異なる効果が望めるのだろうか?社会的投資の現状と展望について、ARUNの功能(こうの)聡子代表に聞いた。

◇   ◇   ◇

■「寄付」の限界に直面

ARUNが現在投資を行っている企業は4社。カンボジア人社会起業家が立ち上げ、事業を通じてカンボジアが抱える貧困や教育格差といった社会問題の解決に取り組んでいる企業だ。業務内容は、ヘアエクステンション(つけ毛)製造から農産物の流通・販売までさまざま。これまでARUNは日本国内の個人投資家85人と1法人から計6,400万円(※)を集め、投資先企業には経営に関する助言やサポートも行っている。
もともとJICAや世界銀行の専門家としてカンボジアで復興支援を行っていた功能氏が、社会的投資への取り組みを始めた理由。それは「寄付」や「支援」の限界を感じたためだったという。(※数字は2013年2月現在)

 1995年から約10年間カンボジアに滞在し、様々な支援活動に携わってきました。カンボジアは1993年まで続いた戦争や内戦のために多くの人材や資源を失い、私が赴いた当時は世界で最も貧しい国のひとつに数えられていて、海外からの寄付や支援こそが、国家復興に不可欠だと考えられていました。実際、日本をはじめとする先進国から多額の寄付金が集まり、様々な復興支援プロジェクトが行われ、一定の成果を上げていたと思います。しかし自分自身がそれらの活動に携わっているうちに、私はその成果の多くが一時的なものにすぎない、という現実に直面せざるを得ませんでした。というのも、寄付金が底をつくと、あるいはプロジェクトの実施期間が終わってしまうと、結局元の状態に戻ってしまうケースが多かったからです。

 例えば、ある農業関連の支援プロジェクト。新しい肥料や農具を使う効率的な農法を指導して、収穫量を増やすなど一定の成果を上げましたが、プロジェクト期間が終わって指導者が去ると、農民はその肥料を使うのを止め、元の状態に戻ってしまいました。寄付金がなくなった時点で、彼らには新しい肥料や農具を購入できなくなるからです。これではカンボジアの農業の根本的な成長は望めません。

 もちろん、寄付や支援は必要です。しかし、それとは別のもっとサスティナブル(持続可能)な仕組みが必要なのではないか?と、考えるようになりました。

>> ■人々の自主性・主体性を育てる「社会的投資」

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