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 従来から知られている資格に加えて、新しい資格も続々と登場する中、本当に仕事で使える資格は何なのか。日本経済新聞社と日経HR(日経キャリアマガジン)は、2014年11月にビジネスパーソンへのアンケート調査を共同で実施。「取得している資格の満足度」「取得して仕事に役立っている資格」「これから取得したい資格」の3つの角度からランキングを作成した。ぜひチェックして、資格選びの参考にしてほしい。

満足度ランキング
保有資格の満足度ランキング(総合)
順位資格名合計
(点)
プロジェクトマネージャ15.09
ビジネス実務法務検定2級14.15
秘書技能検定2級14.06
秘書技能検定準1級13.85
日商簿記検定1級13.83
技術士13.70
TOEFLテスト13.54
TOEIC®テスト(Aレベル)13.47
ITパスポート13.38
10日商簿記検定2級13.25
11一種外務員13.19
12応用情報技術者13.09
13情報セキュリティスペシャリスト13.08
14マイクロソフト認定13.05
15ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定3級13.00
16衛生管理者(第1種、第2種)12.98
17TOEIC®テスト(Bレベル)12.93
18ITILファンデーション12.89
19ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定2級12.84
20宅地建物取引主任者12.83

回答者の主観を反映した実感に近いランキングに

満足度ランキングは、保有している資格の中から最大3つを選び、「費用」「時間・手間」「活用度」「将来性」をそれぞれ5点満点で採点、その合計により算出した。いずれのカテゴリーも、採点に回答者の興味や主観が反映されるため、難易度だけでは測れない、より実感値に即したランキングとなっている。

例えば、資格取得までに必要な費用としてはスクールや通信教育の学費、参考書代、受験料などが考えられるが、それらを高いと感じるか低いと感じるかは、資格取得によりどんな価値を得られたかに左右されるだろう。「時間・手間」も同様であり、このカテゴリーは「時間・手間対効果」と言い換えることもできる。「活用度」からは資格取得により修得したスキルがどれくらい現実に役立つものなのか、「将来性」からは今後のビジネスシーンでの需要に対する手応えを、それぞれに読み取ることができるはずだ。

幅広い層が取得する資格がランクアップ

今回の調査は前回よりも回答者の女性比率が高く、約6割を占めている。そのためか、「保有資格」では、秘書技能検定や日商簿記検定など、幅広い層が受けている資格、検定が上位に入った。その分、難関資格のランクが下がる結果となった。

総合ランキング1位に輝いたのは、IT系の中でも高難度の「プロジェクトマネージャ」。唯一15点超という高得点を獲得しているが、実は、前年の満足度ランキングでは30位以内にも入っていない資格だ。2位の「ビジネス実務法務検定2級」、3位の「秘書技能検定2級」も、前年は10位以下で、それぞれ15位、14位。前年、ベストテン内にあった資格で、今年も10位以内にあるのは6位の「技術士」(前年4位)、9位の「ITパスポート」(同8位)、10位の「日商簿記検定2級」(同6位)のみだ。

前年1~3位だった「英検(実用英語技能検定)1級」「個人情報保護士」「漢語水平考試(HSK)」は大きく順位を下げた。

お役立ち資格ランキング
お役立ち資格ランキング(総合)
順位資格名合計
(%)
産業カウンセラー100
 
CFP®100
 
税理士100
 
英検(実用英語技能検定)1級93.3
 
1級建築士92.9
 
中小企業診断士90.9
 
情報セキュリティスペシャリスト90.9
 
国連英検(国際連合公用語英語検定)B級以上88.9
 
TOEIC®テスト
(Aレベル、860点以上)
85.4
 
10日商簿記検定1級85.0
 

3資格が同率1位でお役立ち度100%

ここではその人が「現在保有する資格の中で、『仕事に役立っていると考える資格』はありますか?」という問いに「ある」と回答した人に、資格名を挙げてもらい集計した。

今回は「産業カウンセラー」「CFP」「税理士」の3資格が同率で1位に並んだ。「産業カウンセラー」「税理士」は、前年トップ10圏外からの1位。「英検1級」「国連英検B級以上」も圏外からランクインした。

「産業カウンセラー」はメンタルヘルス対策、人間関係づくりへの援助を活動領域としており、「メンタルヘルス・マネジメント検定II種」(27位)と併せて、企業の対策、教育が活発になってきたことで、資格を生かす機会が増えたと考えられる。

財務・会計系の「CFP」「税理士」については、銀行や生命保険などに勤める人が、顧客との相談で価値を発揮する機会が増えていることが一因だろう。超高齢社会の到来により、不動産会社で相続対策などの相談機会が増え、税金対策の実務が拡大していることも背景にあると考えられる。

業務に密着した資格や語学系の資格が上位に

「1級建築士」は、一定以上の建築物の設計監理の独占業務であるため、「業務上」役立てられると答えた人が7割を超えている。

IT系では唯一「情報セキュリティスペシャリスト」が6位にランクイン。ここ数年でも個人情報の流出などが話題に上っており、「個人情報保護士」(29位)と共に、企業などのセキュリティー対策の取り組みが活発化する中で、価値が高まっているといえそうだ。

「ネットワークスペシャリスト」「プロジェクトマネージャ」「マイクロソフト認定」「PMP」などのIT系資格も12位~18位に入り、資格が仕事に直結し、役立っていると考える人が多い。

語学系では9位に「TOEICテスト(Aレベル、860点以上)」、16位に「TOEFLテスト」、26位に「TOEICテスト(Bレベル、730~860点未満)」と、英語のスタンダード化とともに業務に役立つ実感が高まっているといえそうだ。

今後取得したい資格ランキング
取得したい資格ランキング(総合)
順位資格名取得したい資格
(%)
TOEIC®テスト
(Aレベル、860点以上)
19.3
 
TOEIC®テスト
(Bレベル、730~860点未満)
18.3
 
TOEIC®テスト
(Cレベル、470~730点未満)
17.8
 
宅地建物取引主任者13.4
 
日商簿記検定2級12.7
 
中小企業診断士12.0
 
社会保険労務士9.4
 
ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定3級9.3
 
日商簿記検定3級8.7
 
10行政書士7.9
 
11ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定2級7.7
 
12マイクロソフト認定7.4
 
13TOEFLテスト6.3
 
14メンタルヘルス・マネジメント検定II種
(ラインケアコース)
5.4
 
15プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)5.3
 
16ITパスポート4.8
 
16危険物取扱者(甲種、乙種、丙種)4.8
 
18日商簿記検定1級4.5
 
19情報セキュリティスペシャリスト4.4
 
19基本情報技術者4.4
 
21TOEIC®テスト
(Dレベル以下、470点未満)
4.3
 

総合では英語、会計、法律などの基礎的な資格が人気

「取得したい資格ランキング」は、「今後、新たに資格取得を目指して勉強したいと考える分野はあるか」という質問に対して、「ある」と答えた人に、「勉強したい、勉強を始めている資格」を挙げてもらった。「ある」と答えたのは全体の86.2%。その中で、挙がってきた資格の割合の高い順にランキングした。

総合ランキングでは、TOEICテストが1~3位を独占した。語学系では13位のTOEFLテスト、21位のTOEICテスト(Dレベル以下、470点未満)など、英語熱の高まりがうかがえる。

全体的には日商簿記検定の2級が5位、3級が9位、1級が18位と関心が高い。国家資格の「ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定」も3級が8位、2級が11位とよりベーシックなものに関心が集まっている。

2015年4月から「宅地建物取引士」に呼称変更がある「宅地建物取引主任者」は、毎年20万人近くの受験者数があり、ランキングでも4位に入った。

英語以外では業界・職種のニーズを反映した結果に

「取得したい資格」を職種別、業界別、年代別に集計し、回答数が多かった4職種、3業界、3つの年代をピックアップ。いずれも「TOEICテスト」が上位に入り、業界・職種・年代を問わず英語への関心の高さを裏付けた。

職種別では営業・販売の2位・4位に「宅地建物取引主任者」「中小企業診断士」が入り、一般事務では4位・5位に「日商簿記検定」の3級・2級がランクイン。その職種でのニーズの高さを示した。

業界別では情報系でスペシャリスト資格が上位に、金融系で「宅地建物取引主任者」「ファイナンシャル・プランニング(FP)技能検定2級」が入るなど、業界での浸透度をうかがわせた。

年代別では20代・30代で日商簿記検定2級・3級がランクインして事務系の関心の高さを示した。40代になると「中小企業診断士」など専門性志向が高まっている。

調査の概要
●調査方法/日本経済新聞、日経Bizアカデミーと日経キャリアマガジンが共同で行った「ビジネス系資格調査」をもとに作成。調査は20~40歳代のビジネスパーソンを対象に、インターネットによる選択式、記述式混合のアンケート方式で実施した。
●調査期間/2014年11月5日~11月12日
●回答者数/1740人

[日経Bizアカデミー2015年1月16日付]

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