東は慶應大学院、西は京都大学院が首位
日経・日経HRがビジネススクール調査
ランキングは知名度を反映
通ってみたい・関心のあるMBA大学院のトップは、東日本が慶應義塾大学大学院の経営管理研究科(2580点)、西日本が京都大学大学院の経営管理教育部(2069点)だった。選んだ理由を聞くといずれも「知名度が高いから」が最多だった。
慶應義塾大学大学院は1978年に国内初の2年生MBAコース(大学院修士課程)を設立し、高い知名度を誇っている。一方、京都大学大学院は設置(2006年)から7年目と歴史は浅いものの、大学(学部)が有名なことなどから関心が集まったと推測される。
東日本の2位は早稲田大学大学院の商学研究科(2252点)、3位はグロービス経営大学院大学の経営研究科(1096点)が続いた。西日本は、2位神戸大学大学院の経営学研究科(1424点)、3位同志社大学大学院のビジネス研究科(933点)となり、国立の大学院が上位2校を占めた。
選んだ理由は、早稲田大学大学院と同志社大学大学院は「知名度」が最多。グロービス経営大学院大学は「仕事と両立できる開講時間のカリキュラムがある」が最も多く、神戸大学大学院は「教授、講師陣が優れている」が評価された。
大学の本音は「知名度より教育内容で選んでほしい」
今回の調査では大学院を選んだ理由として、上位の大学院に限らず、全体的に「知名度」を挙げた回答が多かった。通ってみたい大学院を知名度で選ぶというのは間違いではないが、ある大学院教授は次のように話す。「育成する人材増やカリキュラムは、各校でまったく異なる。
大学院の広報力不足もあるが、今後大学院を目指すのであれば知名度などの外的要因ではなく、教育の充実度など内的要因で選んでほしい」。ランキングは1つの指標としながら、実際に志望校を決めるときには、各校の特徴を理解した上で決定するようにしたい。
MBA受講者経験者は教育の質などを重視
一方、MBA講義の受講経験者が回答した「通いたい大学院」は、東・西日本ともに総合ランキングとは異なる大学院が首位となった。トップは、東日本がグロービス経営大学院大学(20.9%、総合は3位)、西日本は神戸大学大学院(23.2%、同2位)だった。
選んだ理由でみると、「教授・講師陣が優れている」「仕事と両立できるカリキュラムがある」「カリキュラムが充実している」などが挙げられた。総合ランキングでは「知名度が高いから」を挙げた回答者が多かったが、実際に通うとなると教育内容の質や通いやすさなどが優先されるということだろう。
職務上必要な知識・スキルが最大のニーズ
日本国内のビジネススクールの講義を「受けたことがある・現在受けている」「受けてみたい」という人たちに、講義を受けてみたい理由をたずねてみると「職務上、必要な知識・スキルや経営に関する理論を学びたい」と回答したひとが63.5%とほぼ3分の2に上った。仕事上の目の前の課題を解決することが学びの最大の動機になっているようだ。
次いで多かったのが「人脈を構築したい」(26.4%)、「向上心を満たしたい」(24.1%)で、「転職を有利にしたい」や「社内で高い地位につきたい」など、キャリアアップの手段としてMBAをとるという発想の人はそれほど多くなかった。
受講後は「現在の職場で生かす」が最多
さらに、ビジネススクールを経験したあとの自身のイメージ・希望を尋ねたところ、「習得したことを現在の職場で生かす」との回答が49.4%で最多だった。これに次ぐ回答は「既存のグローバル企業の経営に参加する(企業の国籍は「日本」)」との回答(33.1%)で、国内外資系企業や海外の企業へのキャリアアップが志向されているのではなく、ビジネススクールを通じて目の前の仕事の課題を解決したいという欲求がここでも大きな関心になっているのが見て取れる。
日本経済新聞社と日経HRによる共同調査。インターネットによるアンケート方式で実施した。対象は全国の20~40代を中心とするビジネスパーソン。調査期間は2012年5月28日~6月5日。回答者数は3850人。ランキングの集計方法は、経営学を中心としたMBAコース(または類するコース)を持つ国内の大学院(東日本49校・研究科、西日本17校)で、最も通ってみたい大学院を1位とし、最大3位(3校)まで選択してもらい、1位を3点、2位を2点、3位を1点として集計した。調査結果は全て無効回答を除いた。
調査結果の詳細は、7月18日発行の「日経キャリアマガジン」(日経HR)でも紹介しています。
[日経Bizアカデミー2012年7月20日付]