ゲーム・チェンジャーの競争戦略

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2015/4/3  (1/3ページ)

異業種競争を「事業連鎖」で読み解く

 異業種の参入やベンチャー企業の台頭により、これまで当たり前だと思っていたビジネスモデルが通用しなくなり、新たな競争が生まれるようになりました。こうした変化に対応できず、淘汰された企業も数多く存在します。既存企業は、どうすれば、いまある事業を守りつつ競争に打ち勝つことができるのでしょうか。

 2009年に出版した『異業種競争戦略』では、これまでのような企業内の「バリューチェーン(価値連鎖)」だけでなく、関連企業を包括した、より大きな連鎖をとらえることで、こうした新しい競争の見取り図を示しました。この大きな連鎖を「ビジネスチェーン(事業連鎖)」と名づけています(図表1-1)

 たとえば、カメラ、フィルム業界で起きた異業種競争を見てみましょう(図表1-2)

 もともと写真関連業界は、記録媒体すなわちフィルムを製造・販売するフィルムメーカー、カメラを製造・販売するカメラメーカー、現像・焼き付けを担うDPE店と現像所、さらにでき上がった写真を整理保存して鑑賞するためのアルバムメーカーといった具合にきれいに分業が成り立っていました。お互いの業界は、協調することはあっても、決して競合しない関係でした。

 ところが技術進化により、この流れが一変します。たとえば、フィルムメーカーがレンズ付きフィルムを発売したことで、カメラメーカーの市場を侵食することになりました。さらには、ミニラボの登場により、街中のDPEショップで簡単に現像・焼き付けができるようになりました。現像所のビジネスが減ってしまったのです。

 さらに、デジタルカメラの登場が、写真業界を革命的に変貌させました。フィルムが不要になり、コダックは倒産、コニカ(現コニカミノルタ)もカメラ事業から撤退し、それまでの光学式カメラメーカーの代わりに電機メーカーがデジタルカメラメーカーとして台頭しました。

 さらには、安価なプリンターを使って家庭でも簡単に焼き付けができるようになりました。また、デジタル化されたことで、撮影した写真をすべてプリントする必要もなくなりました。撮影した写真を家族や友人とシェアするためのネット上の仕組みも繁盛しています。携帯やスマホで写真を送るのも当たり前となりました。

 こうした動きにとどめを刺しそうなのが、スマホのカメラ機能です。すでに一部のスマホには、ちょっとしたコンパクト・デジカメよりも高性能なカメラが付いており、デジカメを持ち歩く人は少数派となっています。

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