ゲーム・チェンジャーの競争戦略

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2015/4/10  (2/3ページ)

市場創造型(Creator)

 儲けの仕組みがこれまでと同じでも、まったく新しい製品やサービスを提供しているのが、市場創造型です。既存市場を侵食せず、これまでになかった新しい市場をつくり出すので、攻められる側の企業にとってはそれほど嫌なプレーヤーではありません。ただし、新市場が既存市場に取って代わるようになってくると、やっかいな競争相手となります。

 JINSのパソコン用メガネ それまで常識だった「視力を矯正する」ではなく「目を守る」という新しいコンセプトで登場したのが、パソコン用メガネの「JINS PC」です。有害光線(ブルーライト)をカットすることでパソコンで作業をしているときの目の疲れを軽減するという機能を前面に出し、発売2年程度で300万本を売る大ヒットとなりました。メガネという既存商品に新たな用途を見つけることで、市場創造に成功したのです。儲けの仕組みは、これまでのメガネと同じです。

 一見すると、これまでと同じような製品やサービスを提供しているように見えますが、実は、これまで満たされていなかった潜在ニーズに着目して新市場をつくり出しています。市場創造型は、①儲けの仕組みは変えずに、新たな製品やサービスを生み出すことで新市場を創造し、競争のルールを変えています。②その成功のカギは、顧客自身も気づいていないニーズを具体化することにあります。

ビジネス創造型(Developer)

 ビジネス創造型は、これまで世の中に存在しなかった製品やサービスを、新しい儲けの仕組みで提供します。

 価格.com カカクコムが運営する「価格.com」は、顧客がこれまで足で稼ぐしかなかった各小売店の価格情報を自宅にいながら、あるいは出先で、パソコンやスマホを使って簡単に比較できる人気サイトです。さらに、そこから小売店のECサイトに移動して実際に購入することもできます。いまでは、消費者にとって、なくてはならないサイトとなっています。

 同社の主な収益源は、ものを販売する側の小売店からの広告収入と、価格.comから各小売店のECサイトに消費者が移動した場合の手数料収入です。さらには、価格比較のリストに載せる手数料、メーカーへの商品企画提案コンサルティング料なども得ています。

 最近では、ネットでの消費者行動が一段と進化しています。まずはリアルの店舗で現物を確かめたうえで、価格比較サイトで最も安い値段で販売されている店(ECサイト)を見つけ、そこで購入するという購買行動が注目を集めています。こうした現象が小売店を、商品の現物を見るだけのショールームにしてしまっています。既存の小売店にとっては頭の痛い問題です。

 ビジネス創造型は、①これまでになかった製品やサービスを、新しいビジネスモデルで世の中に提供しています。②成功のカギは、妄想を立体化する、すなわちイマジネーション(想像力)とイノベーション(創造力)を結びつけ、まったく新しいビジネスをつくり出すことです。

 ニーズやビジネスモデルがはっきりしないなかで、新しいビジネスを計画的に生み出す方法はありません。創業者の思いつきや思いが原動力となり、後から儲けの仕組みがついてくることもあるでしょう。また、技術や仕組み(シーズ)が起点となって、それを活用できる市場(ニーズ)が見つかる場合もあります。

>> バリューチェーンを見直し、新たな価値を提供する「プロセス改革型」

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