ゲーム・チェンジャーの競争戦略

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2015/4/10  (3/3ページ)

プロセス改革型(Arranger)

 製品やサービスも、儲けの仕組みも既存のものと同じだとすれば、どうやって競争のルールを変えるのでしょうか。プロセス改革型は、自社の仕事の流れやバリューチェーンを見直すことで顧客に新しい価値を提供しています。

 アマゾンによる書籍のネット通販 アマゾンの登場(ここでは電子書籍ではなく紙の書籍のネット通販を指します)によって何が変わったのでしょうか。売られているものは、既存の書店と同じ書籍や雑誌です。また、本の代金が売上になるという儲け方も既存書店と変わりません。しかし、既存書店と大きく違う点があります。それは、店舗がネット上にあるため、いつでもどこでも買い物ができるという点です。

 既存書店には、店舗面積という物理的な制約から、保有できる在庫量にかぎりがありますが、ネット書店にはそうした制約がありません。実際にアマゾンは、何百万冊という品揃えを誇っています。もちろん、検索機能を使えば、欲しい本をサイトで探すことも可能です。

 このように、書籍のネット通販では、わざわざ出かける必要がない、あるいは書籍を探すのが容易であるという点で、顧客にまったく新しい価値を提供しています。顧客の購買プロセスを見ると、書店に出かける、売り場を探す、棚を調べるといったプロセスが省略されていることがわかります。

 こうした利点もあり、アマゾンのサービスは急速に普及し、日本で最も大きな売上をあげる書店となりました。しかし、アマゾン側から見れば、店舗にかかるコストを下げられる一方、在庫を保管するための倉庫や配送するための物流システムが必要になっています。

 プロセス改革型は、①これまでと同じ製品やサービスでも、それらの提供方法を変えることで新たな価値を生み出しています。②その成功のカギは、既存のバリューチェーンを見直すことにあります。

 以上、新手のプレーヤーが世の中に現れるときには、どんなタイプがありえるのかを、マトリクスを使って説明しました(図表1-4)。自分が新しいビジネスを始める、あるいは既存事業でイノベーションを起こそうというときの参考になるでしょう。

 一方、自分が属する業界で新しいタイプの競争相手が誕生したなら、やはりこのマトリクスのどこかに位置するはずです。敵を知るため、あるいは今後起こりうる競争を予測するためにも、このマトリクスは有効です。

 日経Bizアカデミーは4月28日(火)夜、東京・早稲田の早稲田大学早稲田キャンパス内で無料セミナー「ゲーム・チェンジャーの競争戦略を読み解く」を開催します。

 早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授ほかが登壇し、競争のルールを破壊する戦い方を4つのタイプに類型化し、その攻め方、守り方について一端を紹介します。めまぐるしく変わるビジネス環境の中、新たな視点を持つきっかけにもなる内容です。

 皆様のご応募をお待ちします。申し込みはこちら

 【開催概要】
 日時:2015年4月28日(火) 19:00~21:00 (18:30開場)
 会場:早稲田大学 早稲田キャンパス 11号館501教室
    (東京都新宿区西早稲田1-6-1)
 参加費:無料(事前登録制)
 定員:約200名

◇   ◇   ◇

内田 和成(うちだ・かずなり)
早稲田大学ビジネススクール教授

東京大学工学部卒。慶慮義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から2004年12月までBCG日本代表を務める。さまざまな業界の大手企業を中心に戦略の策定・実行を支援するプロジェク卜を数多く手がけ、2006年には「世界で最も有力なコンサルタン卜のトップ25人」(米コンサルティング・マガジン)に選出された。2006年より現職。ビジネススクールで競争戦略やリーダーシップ論を教えるほか、エグゼクティブ・プログラムでの講義や企業のリーダーシップ・トレーニングも行う。また、三井倉庫社外取締役、キユーピー社外監査役なども務める。著書に『デコンス卜ラクション経営革命』(日本能率協会マネジメントセンター)、『仮説思考』『論点思考』(いずれも東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)などがある。

ゲーム・チェンジャーの競争戦略 ―ルール、相手、土俵を変える

著者:内田 和成
出版:日本経済新聞出版社
価格:1,728円(税込み)

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