ビジネス書ななめ読み

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2016/3/25  (1/1ページ)

「いずれにせよ、これからは自分のキャリアを自ら“経営”する時代が来たと筆者は考えている。これは職業人として生涯にわたり、どうカネを稼ぎ続けていくかということなのだが、そこにはサラリーマンであり続けるという選択肢も当然含まれている。

 だが、引き続きサラリーマンという働き方を選択するにしても、従来の環境下にあったサラリーマンとは明らかに違う意識で働かねばならない。それはどんな意識づけか?

 キャリアの主体性は企業の側にではなく、自分の側にあると認識を持つことだ」(本書・p240)

 企業のミドルマネジメントの中核を担う課長という役職。この役職が今最もキャリアリスクにさらされていると著者はいう。そのキャリアリスクをヘッジするにはどうすればよいのか。今いる会社でしか通用しないマネジメント能力から脱却し、プロフェッショナル課長を目指せというのが本書が示す答えだ。

 前半は課長受難の時代を活写する。課長のマネジメントを複雑化しているのは多様な働き方を進んできて、それに応じたいろいろな働き手がともに働いている職場環境だ。昔のように同じ価値観の均質な社員像はそこには存在しない。ちょっとした業務命令のつもりがパワハラになり、大きなトラブルに発展するリスクが常に存在する。こうした状況を我流のマネジメントで乗り切ろうと頑張ると、かえって事態が悪化しかねず、自身も時流に乗り遅れた「ガラパゴス課長」になっていくと著者は警告する。

 そこで「すごい課長」の登場となる。コミュニケーション術に始まって、リーダーシップ術、会計知識など、多方面から課長スキルを磨くための具体的手法を伝授していく。ポイントになるのは「技術的」という考え方だ。仕事なのだから情緒的アプローチや精神論はまず有効に機能しない。公正な基準を明確にしてキャリアを客観視し、常にオープンな姿勢を保つといったスキルがプロフェッショナル課長には求められるという。そのスキルを支える意識が「フォーユー精神」だと説く。とにかく職場のメンバーのために何ができるかを考え、その姿勢を口に出して伝え、実行すること。利己ではなく利他の心構えがプロ課長の第一歩だ。(日経プレミアシリーズ・本体850円)

いらない課長、すごい課長 (日経プレミアシリーズ)

著者 : 新井 健一
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 918円 (税込み)

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