日経キャリアアップ面連動企画

この記事をはてなブックマークに追加 この記事をmixiチェックに追加
印刷
2016/2/16  (1/3ページ)

 本書は2007年に書かれました。タイトルは刺激的ですが、内容はバブル崩壊後、低迷していた日本企業が復活するための的確な処方箋となっています。それから10年近く経過していますが、日本企業に対する本書の提言は、企業の不祥事が相次ぎ、コーポレートガバナンスが取り沙汰されている今こそ、読んでいただきたい1冊です。

 経営は集団としての人間を一つの事業目的に向けて有機的に結合させ、機能させることで成り立っていきます。どんな人にも働く目的や欲求などのインセンティブがありますので、これを組織の方向と一致させることが鍵となります。同じ方向を向いて進む組織の力は個々人の能力の違いなどを超越してしまうようなパワーを生み出すのです。

 日本企業、特に大企業で顕著ですが、このインセンティブと組織の方向性が一致していないケースが多く見られます。多くの企業で意思決定や仕事の遂行にあまりにも多くの人間が関わる仕組みになっています。結果的に、企業としてどう利益を生み出すかよりも、いかに内部の調整をうまく進めるかしか考えなくなってしまいます。

 個人でリスクを取って仕事に成功したとしても、巨額のボーナスをもらえるわけでもなく、社長への道が約束されるわけでもありません。逆に失敗すれば相当の罰点になり、それが一生つきまとうことになってしまいます。このような仕組みのもとでは、優秀なサラリーマンほど組織力学のマネジメントに知恵とエネルギーを使うのです。

 組織として目指す方向に社員全員が向かうには、社員それぞれの腹に落ちるようなコミュニケーションが重要です。経営が送り出すメッセージに、ただちに心から反応し、動機づけられて行動する人間は多くありません。難しい制度論や戦略論をいじくりまわすことよりも具体的な人事一発の方が人々の心に桁違いのインパクトを与えるのが現実の経営なのです。

<< >>
バックナンバー

この連載の一覧
著者プロフィール