日経キャリアアップ面連動企画

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2016/3/15  (1/4ページ)

 本書が最初に出版されたのは今から30年近く前です。それが最近になって復刊されたのにはそれなりの意味があります。経営学修士(MBA)ブームなどと言われながら、難しい専門用語やフレームワークに踊らされがちな学者やコンサルタントを一刀両断にする切れ味に、やっと時代が追い付いてきたということではないでしょうか。

 まず、タイトルがいい。一言で戦略の本質をついています。他社に勝つ=差別化ということは、他社から「バカよばわり」されるくらいでなくてはいけないのです。そう言われたくないためかどうかはわかりませんが、「他社がやっているから、当社も」という企業がいかに多いことか。

 5年前に日本に帰ってきたとき「飲み放題」が多くて感激しましたが、この典型です。最初は「バカな」だったのかもしれませんが今は「あたりまえ」で、とても差別化の源になっているとは思えません。むしろレッドオーシャンの良い(悪い?)例です。

 一方で当然ですが、ただバカなだけでは経営は成り立ちません。顧客ニーズをつかみ経済的に成り立つ合理性がなくてはなりません。本書にもあるように、一見「バカな」と思われる戦略も、よくよく見てみると非常によく考え抜かれていることがわかります。

 気をつけなくてはならないのは「よい戦略には合理性がある」ことと「合理的に考えればよい戦略が生まれる」ことは全く違うことです。多くの情報へのアクセスが可能な現在、ロジックやフレームワークは一般的な、誰にとっても同じ答えをもたらします。

 成長分野と言えば、医療、インフラ、農業。よしと思って入ってみると、多くの企業の新規参入が集中し過当競争でもうからない…そんな話です。差別化を求めるには、「バカ」にならなくてはならないのです。IBMのワトソン君に対して人間が勝てるのはそこなのです。

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