日経キャリアアップ面連動企画

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2016/1/26  (1/4ページ)

 ファーガソンはスター選手を擁する名門サッカーチームを四半世紀以上にわたり率いた秘訣を、こう記しています。

 「私が観察力を備えていたのは幸いだった。世の中には部屋に入っても何ひとつ気づかない人間がいる。自分の目を使うのだ。すべては目の前にある。私はそのスキルを使って、選手の練習態度や気分、行動パターンを把握した」

 昨年話題となったテレビドラマ「下町ロケット」で阿部寛が演じた熱血社長が共感を呼んだこととも重なりますが、部下から尊敬され信頼されるには、しっかりとしたビジョンを持ち、部下を把握し、真摯に接することが洋の東西を問わず要なのでしょう。

 ファーガソンは若手の育成にも意欲的でした。特に有名なのは「ファーガソンのひな鳥」と呼ばれたデイヴィッド・ベッカムらマンチェスター・ユナイテッド・アカデミー出身者たちで、彼らは1999年の三冠獲得に貢献しました。ファーガソンは生え抜きの選手たちをユナイテッドの象徴と評し、「コーチングスタッフに育成の価値を教えてくれる存在であり、若い選手たちの憧れだった」と記しています。

 もちろん生え抜きの選手だけでチームが構成されていたわけではなく、他のチームから即戦力となる選手を獲得してきたわけですが、それは長期的視野に立ってチームを運営するセンスにたけていたと言えるでしょう。

 企業を経営するうえでも、新卒で採用して教育し、愛社精神を持つ生え抜きの従業員として末永く勤めてもらうのは理想です。しかし、時には転職など従業員の新しい門出を気持ちよく見送らなければなりません。

 また、業務経験や得意分野、年齢層のバランスをとるため中途採用も行います。企業のリーダーも、個々人をよく見て個性を引き出し、それを生かせるように布陣を組んで指揮することは、まさにスポーツチームの監督と同じなのです。

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