日経キャリアアップ面連動企画

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2016/2/23  (1/3ページ)

 日本では終身雇用、年功序列といった仕組みが高度成長期と非常にうまくマッチし、無用なあつれきを排除して安心感を持って仕事ができるという、きわめて安定した階層構造が出来上がりました。日本は当時の時代と社会に完璧なまでに適応した合理的なシステムを発展させてきたのです。

 その後、高度成長期が終わり低成長時代を迎える中で、高齢化が急速に進展するなどの変化が起こります。これだけシステムの前提が変わってしまったら、システムもそのままでは機能しないのは自明ですが、過剰適応されたシステムなだけに変更がままならなかったのが、「失われた20年」の苦境の原因でした。

 良い学校に入って良い会社に就職すれば一生安泰でいられると信じて、多くの人は受験勉強にいそしみ一流の大企業に入りました。残念ながら、それは多くの場合、幻想にすぎなかったのですが、実際に中にいる人がその幻想を自ら打ち破ることは大変なことです。

 むしろ、せっかく獲得した地位を何とか守って「また日本経済が良くなれば、以前のようにうまくいくはずだ」とどこかで期待して「待ち」の状態に入ってしまう方が自然ではないでしょうか。

 このことが日本企業の不祥事の遠因になっていると冨山氏は言います。アングロサクソンの「利害社会」に対して、日本は「ムラ(村)社会」です。ムラ社会では構成員のインセンティブは共同体の現状の維持にあり、変革をせず、現実を見なくなります。構成員の必死の頑張りは、正しくない方向に事態を進めてしまうことがあるのです。

 過去に大成功した「高度成長期の日本モデル」では新しいことに挑戦するインセンティブが弱くなります。より成功して上位にいる人ほど、何かを変えるインセンティブは乏しくなってしまっています。結果として日本企業がリスクテークをして利益を上げたり、成長したりすることができてこなかったのです。

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