日経キャリアアップ面連動企画

この記事をはてなブックマークに追加 この記事をmixiチェックに追加
印刷
2016/3/1  (1/3ページ)

 企業再生にあたって重要なのは事業やそれを支える人材の再生であって、会社そのものの救済ではありません。前回、述べたように日本では変革を回避して現状を維持しようという力が強く働きます。なぜなら、日本では一度道を外れたら復活できないイメージがあるためです。そのため日本の企業も人もなかなか負けを認めたがりません。

 そうして何とかそのまま存続しようとするのでゾンビ企業が多数出現してしまいます。ゾンビ企業には人材や技術が閉じ込められたまま、じわじわと沈没していくことになるのです。すなわち、日本では企業も人材も新陳代謝が決定的に不足しているのです。

 それでは、いかに変革をして新陳代謝を実現するか。一つには破綻からの企業再生や合併・買収のような非日常的な状況に伴う危機感を最大限に活用して非連続的な変化を起こすことです。

 もう一つは外部規律が働く仕組みを整えることです。前回、日本企業がいかに高度成長期に過剰適応したシステムを完成させたかについて述べましたが、外部規律が働きにくい仕組みも同時につくり上げています。サラリーマン社長でいつまでも居座るような人が存在するのは、それを可能にする仕組みになっているからです。つまり、ガバナンスがないのです。

 現在、注目を浴びているコーポレートガバナンスの重要性について、当時から本書では指摘しています。ガバナンスに関して最も重要なテーマは、企業のトップの指名と罷免にあると冨山氏は言い切っています。

 いかにトップを選び、どのように裁量権を与え、どのような時にクビを切るか、という点に統治機構の良しあしは集約されます。そして、企業が掲げる理念や哲学とそれらを実現する手段としてのガバナンスが整合的にそろって機能することが、急速に変化する経済環境の中で会社を腐らせずに持続的に発展させる条件となるのです。

<< >>
バックナンバー

この連載の一覧
著者プロフィール