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1988年、米ケンタッキー工場で生産開始。

ケンタッキーの張富士夫社長(当時)から製造課長の私に「問題解決の教材をつくれ」と指示がありました。米国人は発想が豊かだが論理が飛躍しすぎる。地道に現地現物で「なぜ」「なぜ」を繰り返し真因に近づくような問題解決法を教えたいとの要望でした。

現場で生まれたトヨタ生産方式の社内向け教科書

現場で生まれたトヨタ生産方式の社内向け教科書

早速、国際人事部の海外支援グループから英語が堪能な小西工己君、森戸正和君の若手2人を呼び寄せ制作に掛かりました。故野口音光先生の書かれた「問題解決法」を参考に、過去に叱られながら問題解決した事例を口述。それを彼らが英語に訳し日本語で私に解説させて、じっと聞いては「私の言いたいこととは違う」。これを何度も繰り返しながら教材を作り上げていきました。

おかげで頭の整理ができたうえ、2人の若手を問題解決のエキスパートに育成することができました。

内容は至ってシンプル。座って考えるのではなく不具合が発見されたら、現地現物で工程を遡り不具合の発生工程を特定します。そして仮説を立て現物を確認。どんな現象にも必ず原因があり、その原因も一つの現象にすぎません。現地現物で「なぜ」「なぜ」を繰り返せば、必ず真因にたどりつける。これを実例を挙げながら解説しました。

現地現物が基本。

鈴村語録に「目で見るな、足で見よ。頭で考えるな、手で考えろ」という教えがあります。今はパソコン画面でデータも即時にグラフ化されますし、写真も見られます。「目で見るな、足で見よ」というのは現場へ行け、ということです。「頭で考えるな」というのはせっかく現場に行っても、また聞きの情報と自分の経験とを照らし合わせ安易に頭で納得するなということ。「手で考えろ」というのは現地現物を自らの手で触って納得がいくまで確認しろということです。

大野語録に「データの読めん奴は話にならん。データで見られるようになっていない現場もいかん。データしか見ん奴が一番いかん」という教えがあります。そもそもデータは褒めてもらうために取っているのではありません。問題を顕在化するため、または対策の効果確認のために取っているはずです。良くなったら「何でだ」、悪くなったら「何でだ」と現場を確認しに行く事が重要です。重要業績評価指数(KPI)も大切。ベンチマークも大切。しかし数字だけの競争になったら意味がありません。

最近みな頭が良過ぎて、7~8割筋の通った報告を聞くとすぐ「ああそうか」と安易に納得してしまう傾向があるように思います。昇格者があいさつに来るといつも言うのは「怖い上司になりなさい」。いい加減な報告をすればこの上司は必ず確認に来る。このプレッシャーが大切なのです。

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