マネジャーのための人材育成スキル

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2014/8/28  (1/4ページ)

 人を育てるということは、とてもやりがいがある仕事です。しかしその一方で、とても難しい仕事でもあります。はじめは誰もが、ひとりのプレイヤーとして仕事をすることからはじめます。そして、徐々に人を使って仕事をするようになり、その人を育てることによって持続的に組織が動くことを目指していきます。そして、積み重ねた経験や技術は、他の誰かに受け継ぐことによって発展し、活かされてゆきます。人材育成とまったく無関係なまま一生を終える人はほとんどいないと言ってもいいでしょう。

 それにもかかわらず、人材育成のマネジメントスキルを学ぶ機会は意外に少ないものです。長年管理職経験を積んでいる方でも、日々迷うことが多いに違いありません。ミッションのひとつとして人材育成が求められていることを知りつつも、他の仕事を優先して、つい先送りしてしまっている人もいると思います。

 そのような方々に、人材育成に必要なマネジメントスキルを体系的に語ってみようと考えました。しかも実践の場で、明日からすぐに活用できるスキルを、です。

 全体的に、人材育成をするうえで重要な「考え方」の部分と、育成対象となる部下との「コミュニケーション」の部分とを併せて記載するように心がけています。

 内容については、私が知識を蓄積してきた職業能力開発に関する研究から導き出したものと、キャリア論の領域から導き出したものを、人材マネジメントの視点に置き換えて組み立てています。また、私が責任者を務めているリクルートワークス研究所の研究員たちが残した研究成果や調査結果も適宜活用しています。加えて、仕事を通じて出会った経営者やプロフェッショナルの方々から受けた薫陶や、私の25年間の管理職経験のなかから見出した経験則もところどころに活かしています。

 この連載では「若手」のマネジメントについて考えてみます。ここでいう「若手」とは、入社3年以内の新人の時期を超えて、仕事でひとり立ちはしたものの、まだ中核的な業績を安定的にあげる段階には至っていない人、概ね20代のメンバーを指しています。新人の時期とは違ったいくつかの育成ポイントがあります。

仕事を楽しむ姿を見せる

 ひとり立ちした部下に対して上司がしてあげられる最大のこと。それは、仕事は楽しいものなのだということを教えてあげることです(もちろん、上司であるあなたがそう思っていないことにははじまりませんが)。よく、「仕事というものは辛いものなのだ」と酒の席で部下に語っている上司がいますが、それは誤った教育だと思います。確かに仕事は生活の糧を得る手段ですから、楽ではありませんし、辛いときもあります。しかし、それだけでは本当の意味でいい仕事もできないし、成長もしないでしょう。

 新人の最終段階で、仕事を任せて「仕事が楽しい!」と思える経験をさせるという話をしましたが、これを発展させて、本格的に仕事とのいい関係を築けるように指導するのです。

 一番の方法は、上司自身が仕事のやりがいや素晴らしさを語り、充実した時間の経験を語り、そして何より、活き活きと仕事をしている姿を見せることだと思います。

 これは親子間にも通じることで、家に帰って辛そうにしている父親を見ていると、子どもは仕事に夢を描けなくなっていくものです。

 ひとり立ちした段階になると、仕事をともにする機会も増えてくるでしょう。そのとき、すぐ近くで仕事ぶりを観察させて、仕事を楽しむ背中を見せてあげてください。

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