マネジャーのための人材育成スキル

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2014/9/11  (1/2ページ)

ジョブローテーションという文化

 日本企業では頻繁に人事異動を行います。

 ひとつは、終身雇用を維持するために、会社として必要な部署に人員を再配置するための異動ですが、それだけではなく、人材育成のために行う定期の人事異動、つまりジョブローテーションというものがあります。

 日本企業は職務主義(仕事ありきで適切な人をあてがう)ではなく職能主義(人の能力に応じて適切な仕事をあてがう)でやってきましたから、職務を超える人事異動が行いやすかったという事情もありますが、ジョブローテーションが人材育成の中核として行われてきたことは確かでしょう。

 部署が替わることによって、組織のメンバー構成が替わりますから、新しいメンバー構成にふさわしいリーダーシップを発揮することが求められますし、異動によって社内人脈が広がるメリットもあります。また職務変更を伴う異動であれば、新しい知識や技術が身に付きますし、複数の仕事を経験することで仕事を俯瞰的に見ることができるようになります。異動によって強制的に学習を促すという効果も人材育成には有効です。異動を繰り返すと専門性が磨けないと思うかもしれませんが、関連職務を経験することはむしろ専門性を深めることに貢献しますし、キャリアのなかでは幅広く多様な仕事を経験してみる時期と、ひとつの仕事とじっくり向き合う時期とがあったほうがいいのです。

 最近では、事業ごとの縦割り構造が強くなったことや分社化が推進されたことなどから、ジョブローテーションの機会が減ってきている傾向にありますが、一部の会社ではジョブローテーションの効果を再評価して、たとえば「20代で3部署」というように、人事が管理してジョブローテーションを行うところも出てきました。

上司にとって悩ましい問題

 直属のメンバーをジョブローテーションで取られるということは上司にとってはつらいことでしょう。特に力を付けて、着実に業績をあげられるようになってきた部下であれば、「業績を期待できる欠かせない戦力だ」という思いや、「ここまで育ててきたのは自分だ」という自負もあるでしょう。活躍している部下ほど、当面の異動を希望しないでしょうから、上司としては正直なところ手元に置いておきたいはずです。

 しかしながら、ジョブローテーションは、職業能力の向上のために必要です。

 そのまま長期に同じ仕事をさせておくと、安定的に業績をあげてくれるかもしれませんが、手慣れた仕事を続けているのであれば成長力は鈍化しますし、ひとつのやり方しか経験していないといずれ他の部署に行ったときに困ります。トップセールスで異動なくそのまま管理職に昇進した人は、たとえ同期のトップ出世であったとしてもあとからたいへん苦労するものなのです。

 本当に部下の成長を願うならば、2年から3年程度を目安にジョブローテーションの機会を与えたほうがいいでしょう。

 新人の初期配属で来た部下であれば、特に早めに他の部署を経験させてあげることは大事です。ひとつの部署の滞留期間が5年を超えるようだといくら職務に変化をつけたとしても成長の停滞は避けられません。

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