【Web講座】アントレプレヌールシップ論 ~MBA講義で知るビジネスの原理原則~

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2013/6/7  (2/5ページ)

2.大企業の新規事業が成功しない理由

 大企業の行う新規事業は成功しないことが多い。特に、日本の大企業においては、成功して、会社全体の利益を牽引する事業に発展している事例は極めて少ないのが現状です。ベンチャー企業よりも知名度も財務体力も強い大企業なのに新規事業が成功しない理由は何でしょうか?

 大企業といっても価値観が異なる企業が多くあり、一律的に「大企業の新規事業」とまとめにくいですが、いくつかの大企業の新規事業部門でみられる問題点をまとめてみましょう。

(1)既存事業との位置づけの問題

 問題点の第一は社内の開発、製造、販売、財務などの仕組みが既存事業に最適化したシステムになっていることです。既存事業が優先されて新規事業の部門はあくまで補完的な位置づけにしか置かれないので、新規事業に思い切った予算や人材の配分はなされにくいものです。既存部門の優良顧客が優先する価値基準が、会社全体に植え付いていることをどのように打破するかを考えておくべきです。

 第二は新規事業は既存事業よりも高い投資効率、経常利益率となることを数値で示さなくては社内稟議が通りにくいという社内システムになっていることです。既存事業よりも高い売上高の成長率、総資産利益率(ROA)や経常利益率となることが確実に予想できないと、既存事業に注力した方が望ましい、という判断になります。「将来の可能性のために新規事業分野に先行投資しておく」という余裕が、四半期業績開示や部門別収益性の管理の徹底からしにくい状況になっています。

 さらに「新規事業開始から3年後に期間損益を黒字化、5年後に累損一層」といった目標しかなく、しかも途中経過でも、短期の計数を重視してしまうので、先の見通しにくい新規事業に本腰が入らないことも問題です。

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