【Web講座】アントレプレヌールシップ論 ~MBA講義で知るビジネスの原理原則~

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2013/6/7  (5/5ページ)

2)B2Bビジネスの場合

 法人に対して製品・サービスを提供するB2Bビジネスの場合には、B2Cビジネスの場合と異なり、技術・サービスの優位性を明確にアピールすることが一番大切です。価格の優位性も大切ですが、まずは提供する付加価値がいかに従来製品と異なるかを数値やグラフで示すことが重要です。

 その場合に大学教授や業界で有名な人に顧問やアドバイザーになってもらい、ターゲットとする有名企業1社への導入を目指すべきです。これまでの人脈をフル動員します。新規製品の採用に前向きな会社として評判の高い会社を狙うことも必要です。これは新規事業に対する信用の早期醸成を意味しています。

 この有名企業1社の納入実績ができたら、他の顧客開拓をすることもさることながら、その納入企業へのフォローアップを徹底的に行い、その評価をもとに製品・サービスの改善版を早急に持っていくことです。そのように顧客満足度を定期的に把握し、製品・サービスを修正することで導入の評判が高くなるものです。

 この実績ができれば、技術展示会や各種研究会、ネットワークパーティーおよびマスコミ利用して、その納入実績や顧客満足度を他の顧客に広めていくことが大切です。日本では他社での納入実績が最も購買決定においては重要な要素ですので、その信頼の伝播をスピーディーに行う企画をビジネスプランの中に織り込んでおくことが必要です。その過程で、早い段階で経営者に納入先企業を訪問してもらう機会を作り、製品・サービスの評判を直接、実感してもらう機会を設けることが新規事業を続けるためには重要となるでしょう。

 一般的に新規事業はうまくいかないことが多いといわれますが、トップ経営者の新規事業への意欲や関心、承認、それを仕掛ける新規事業メンバーのモチベーションの維持をどのように実現するか、それを工夫していくことが成功の近道であるといえましょう。

 これで「アントレプレヌール論」のシリーズは終了します。

>> 本連載は、BizCOLLEGEのコンテンツ「若手ビジネスパーソンのためのMBA講座」を転載したものです

◇   ◇   ◇

長谷川 博和(はせがわ・ひろかず)

早稲田大学ビジネススクール教授、グローバルベンチャーキャピタル会長、学術博士、公認会計士、証券アナリスト

アントレプレヌールシップ、大企業の新規事業、ファミリービジネス(事業承継)を主要研究テーマとする。 野村総合研究所で自動車産業の証券アナリスト。日本最大のベンチャーキャピタルであるジャフコを経て、1996年に独立系ベンチャーキャピタルであるグローバルベンチャーキャピタルを設立。現在は会長。スタートアップ段階の企業育成を得意としており、出資だけでなく取締役・監査役就任などベンチャー企業の経営に数多く参画している。京都大学大学院経営管理教育部非常勤講師、日本ベンチャー学会理事、ファミリービジネス学会理事。著書に、「ベンチャーキャピタリストの実務」(東洋経済新報社) 、「MBA国際マネジメント事典」(共著、中央経済社) 、「ベンチャーキャピタルハンドブック」(共著、中央経済社) など多数。

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