【Web講座】職場とキャリアの心理学~MBA講義で知るビジネスの原理原則~

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2013/12/27  (1/6ページ)

会社の一員になるということ

 前回に引き続き、今回も入社から数年間におけるキャリアのスタート時期に焦点をあてて、この時期の重要なキャリア上の課題とは何かを探っていきます。今回は、入社後、人が組織の価値観や目標を受け入れていくプロセスを知ることから成功する初期キャリアについて考えていきたいと思います。

 本題に入る前に、少し前回の内容を振り返ってみましょう。人は会社に入社すると、多くの場合入社前に抱いていた「期待」と実際に社内で直面する様々な「現実」とのギャップから、「リアリティ・ショック」という幻滅の心理を経験します。このことを、入社後数年間にわたる「組織コミットメント」(個人が抱く会社への愛着や同一視の程度)の低下という現象から説明しました。リアリティ・ショックの対処法として、主に前回は本人の認知枠組みの変化のさせ方(すなわち、心の持ちよう)に着目し解説しました。

 では、人はいかにしてリアリティ・ショックの感情を低め、「会社の一員」という感覚を強めていくのでしょうか。会社にはその中に脈々と流れる(また既存の多くの社員に共有されている)組織の価値観や文化、そして目標があります。これは、既存の社員にとってみれば、まるで空気のように「当たり前」の状態ですが、新入社員にとってみれば、新しい価値観・文化との「出会い」であり、心地よいと感じることもあれば、違和感・距離感を覚えることもあります。入社当初、まるで自分が「よそ者」、「お客さん」のように感じられたのが、いつの日か知らず知らずのうちに「うちの会社は、・・・」という言葉が自然と出てくるようになるのです。

 このような経験、すなわち「組織の外部者から組織の内部者に心理的に移行していく過程」を、組織行動学では「組織社会化」と呼びます。図1はこの組織社会化のプロセスを説明したものです。すなわち、(1)入社後に新人が経験する「遭遇」(新しい会社の価値観・文化・目標との出会い)と(2)「変化または適応」(それらの受け入れ)の段階を経て会社に社会化していきます。

 ここで重要なポイントは、図1の右側にみえる社会化の「結果」です。実は、入社初期に個人がどの程度、会社へ適応することに成功できたかどうかは、その後の仕事・組織への積極的な貢献意欲(コミットメント)の醸成、離転職意思の低下、及び個人のパフォーマンスの向上にも関係していることが数々の研究で明らかになっているのです。

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