【Web講座】職場とキャリアの心理学~MBA講義で知るビジネスの原理原則~

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2014/2/28  (3/6ページ)

キャリア力を高める(その1)―「変幻自在なキャリア」を意識する

 「プロティアン・キャリア」もしくは「変幻自在なキャリア」とはいったいどのようなキャリア観でしょうか。先のダグラス・ホール教授によれば、(組織ではなく)あくまで個人が形成するキャリアを意味し、個人が自己の欲求に応じてその都度方向転換していく主体的なキャリア観であると説明しています。

 プロティアンとは、ギリシャ神話に出てくる海神「プロテウス」から命名されています。プロテウスは、自身の姿をあらゆる形に変身させる力を持っており、その意味で「変幻自在のキャリア」ともいわれるのです。いうなれば、組織と個人の環境が絶えず変化し、一寸先の予測が困難な社会にあって、自ら主体的にキャリアを形成していく能力が問われているといえるでしょう。

 表1は、「伝統的なキャリア」と変幻自在な「プロティアン・キャリア」の違いを対比させたものです。この表からも明らかなとおり、伝統的なキャリアでは、組織の中での地位や給料などの客観的かつ定量的な指標をキャリアの成功指標として捉え、「自身が組織で何をすべきか」、「組織で生き残れるか」を常に意識した働き方とその連続によって個人のキャリアが形作られていくことを示しています。

 一方で、新しいキャリアとして特徴づけられるプロティアン・キャリアでは、組織という枠組みをいったん取り払い、あくまで個人の中で感じられる仕事の充実感(心理的な成功)を成功指標として捉え、「自分は何をしたいのか」、「自分の市場価値はどの程度か(≒自分は何ができるのか)」ということを意識した働き方によってキャリアが形成される点を強調しています。

 このプロティアン・キャリアの考え方に沿って、皆さんのキャリアを棚卸しするとどのような自己評価が得られるでしょうか。ここで注意したいのは、今日の社会において、プロティアン・キャリアのみが一義的に重要だと言っているのではなく、伝統的なキャリアを否定しているわけでもないということです。

 重要なポイントとして、変化の激しい混沌とした「カオス」の時代において、伝統的なキャリア観に「意図せずして」知らず知らずのうちに依存してしまうと、いざ業界や企業などの環境に自身がコントロールできないようなあまりに大きな変化が到来した時に、備えがない状態になりかねないということです。

 すなわち、自己のキャリアを主体的に変幻自在させる能力が備わっているかどうかを、キャリアの節目節目で振り返って考える(棚卸しをする)こと、そして「自分の『棚』には何が入っているのか、また何を入れなければならないのか」を確認することが大切なのです。

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