【Web講座】職場とキャリアの心理学~MBA講義で知るビジネスの原理原則~

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2014/1/31  (1/5ページ)

今も役立つ?「孔子のキャリア論」

 孔子の教えをまとめた『論語』の中の有名な一節に、「子の曰く、吾れ十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(したが)う。七十にして心の欲する所に従って、矩(のり)を踰(こ)えず」というくだりがあるのを読者の皆さんもよくご存じでしょう。

 すなわち、「15歳で学問を志す(志学)、30歳で自らの立場を確立する(而立)、40歳であれやこれやと迷わなくなる(不惑)、50歳で天命をわきまえる(知命)、60歳で人の言葉を素直に聞けるようになる(耳順)、そして70歳で自身の欲に従って行動しても道理を外すことはなくなる(従心)」というものです。今から約2500年もの昔、中国の春秋時代に生きた孔子が、自らの生涯を振り返って述べたものとも、人生の理想を述べたものとも言われています。

 この孔子の言葉は、現代の社会に生きる皆さんのキャリアと照らし合わせても、うなずけるところが大きいのではないでしょうか。それもそのはず、現代におけるキャリア研究の大御所で米国コロンビア大学名誉教授の故ドナルド・スーパー氏が、科学的な根拠をもとに提起したキャリア段階の理論も、この孔子の言説とほぼ一致しているのです。

 図1は、スーパーの理論に従った「職業・キャリアの観点から見たライフ・ステージ(人生段階)」を示したものです。「十有五(15歳)にして学に志す」という孔子の言葉は、図1のまさに職業に対する「探索段階」(15~24歳)に入ったことを意味しています。孔子が「学者として生きていこう」という暫定的な職業選択をこの頃に行い、自身のキャリアについてより具体的に考え始めたことを示しているように考えられます。

 その後の部分についても、自らの立場を確立する30歳はキャリア上「確立段階の試行期」、不惑の40歳は「確立段階の安定期」、天命をわきまえる50歳はキャリアの「維持段階」、耳順う60歳は「下降段階の減速期」、そして従心の70歳は「下降段階の引退期」におおよそ当てはまると考えられます。

 このように、今日とは比べものにならないほど科学が未発達だった紀元前の時代において、孔子は既に現代社会にも通じる「キャリア論」を展開していたといっても過言ではないでしょう。

>> 30代前半にみられる「キャリア・クライシス」

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