私の履歴書 復刻版 松下幸之助

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2011/12/22  (1/3ページ)

 週5日制実施後の初めての休日である4月17日に、私は、特に幹部社員を集めてその意義と心がまえについて所信を述べ、全従業員の自覚と奮起をもって、この週5日制の成果をあげるように呼びかけた。

「これは相当の規模の会社では、初めての試みであり、世間からも注目されています。いろいろ考えてみますと、松下電器全体としては、まだ週5日制に入る十分な体制が整わない半ばで、実施の時がきたという感が深いのです。ですから、きょう5日制に入ったことが誤りであったと言われないために、引き続き相当の努力を要すると考えています。

 もう一つ考えなければならないことは、若い社員がふえた1日の休みを、単なる遊びに終わらせないで、経済人、社会人として向上していくための勉強に充てるかどうかです。会社がつきっきりで指導するわけにはいきませんが、導くべきは導き、言うべきは言って、誤りないようにしなければなりません。

 経済界は今、非常に悪い状態にあります。毎日のように倒産会社が出ています。しかし、新しい販売制度の改革と、よい製品をつくることによって、思わしくない環境下においても、松下電器の経営は一応安定すると思いますが、外部の大きな変化によって災いされる面が起こってくることも考えられます。2、3年前から私は“経済国難”がくることを警告してきましたが、ちょうどその“経済国難”に直面しているときに、私たちは週5日制を実施するのです。これは容易ならぬことだと思います。

 みなさんは、これらの点をよくお考えいただきまして、5日制の先輩国であるアメリカ以上の合理的経営を生み出す決意をもっていただきたいと思います。そして日本を一挙にアメリカに近づけたい。そして日本人、日本国の声価をあげるようにしたいと思います。その先達を松下電器が担うのだという意気込みでやってまいりたいと思います」。

 幸いこうした私の決意を全員が理解してくれ、週5日制は、まことに順調に今日まで続いている。

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