私の履歴書 復刻版 出光佐三

最終回 イランから輸入 「石油はどろぼう品」 英国から横やりが出る

 初め私は日本人として国際信義を無視するようなことをしてはいかんと、はっきり心内に言いきかせていたので1年半は隠忍していた。全然手をつけなかった。それをなぜ私があえて手をつけたかというと、英国と米国と…

第9回 戦後の石油市場 イランに活路求む 12社から圧迫を受け

 私は朝鮮、満州、中国、台湾といった地域での体験からみても、石油市場というものはややもすれば独占されて値段がつり上げられる、これが常識で…

第8回 終戦前後のこと 引揚者を全員受け入れ 重役会の決議押し切って

 さて、いよいよ200人で南方石油の配給をやることを引き受けたものの、さし当たって、それだけの人を集めなければならない。しかし1カ月目に…

第7回 日米戦争のころ 南方の配給を任さる 軍の石油課長が話しに共鳴

 そのうちに日米戦争になったが、わたしのところのタンクにはガソリンが一ぱいはいっていた。それを軍の航空隊が使った。その油を売った金で軍票…

第6回 戦時中のこと 商売を大陸に移す 国策会社問題で軍と対立

 生涯忘れ得ぬ恩人として私は、いま一人の人を思い出す。学校を卒業して商売人になろうとした卒業間際に、内池廉吉博士がこういわれた。「これか…

第5回 石油業に着手 お客様本位で商売 カネより得意先をもうける

 私は日田氏から無償でうけた金を元手にして店を持った。それから門司に出て石油の店をはじめた。それまでは小麦をやっていたのを、なぜ石油にし…

第4回 高商を出て 『卒業生の面よごしだ』 非難よそに丁稚奉公に精励

 前述の通り神戸高商を出て丁稚奉公をするとき私は友達から「お前は気違いだ。学校のつらよごしだ」と強い言葉で非難をうけた。実は私ははじめ神戸高…

第3回 病弱の追想 読書にめぐまれない 体がよくなったらまた眼疾

 子供のころは薬ばかりのんでお医者通いばかりしていた。だから小学校のころはよく体操を落伍したことを覚えている。しかし医者の曰く、「あなたは非…

第2回 神を信ずる 災厄を免れる不思議 祈って無我無心の境に入る

 話は前後するが、私の育った町は特殊な土地柄で、宗像神社という有名な神社があった。私はそのご神徳を受けたと考えている。そういうことで非常にい…

第1回 少年のころ 二つのめぐみで成長 いざこざのない平和な生家

 私は一生を通じて、人とは異なった、ある一貫したものを持ってきた。それは何かというと、読書に縁がないという――これは自慢になるかならない…

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