リーダーに戦略を聞く

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2016/1/22  (1/3ページ)

 日本企業にとって、最大かつ喫緊の課題は「経営そのもののデジタル化だ」と杉田氏は指摘します。これを本気で実現しようと思えば既存組織との軋轢も生じるため、デジタル化という点で、大企業は中小ベンチャー企業に比べて不利な状況にも置かれています。大企業が遅れをとることなく、経営とデジタルを組み合わせながら、「日本らしいグローバル経営」を創造していく道筋は描けるのでしょうか?

デジタルを恐れず、経営に取り込め(上) はこちら

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日本企業は本当に「遅れている」のか?

――「デジタル」への対応という点で言いますと、出遅れ感を持っている日本企業は多いように思います。

杉田浩章(すぎた・ひろあき)
1961年生まれ、愛知県出身。東京工業大学工学部卒業、慶応義塾大学経営学修士(MBA)。日本交通公社(JTB)勤務を経て、1994年、BCG入社。2006~2013年、BCGジャパン・システム オフィス・アドミニストレーター(統括責任者)。2007年、シニア・パートナー&マネージング・ディレクター就任。2014年、BCGクライアントチームアジア・パシフィック地区チェア、2016年1月から現職。杉田浩章(すぎた・ひろあき)
1961年生まれ、愛知県出身。東京工業大学工学部卒業、慶応義塾大学経営学修士(MBA)。日本交通公社(JTB)勤務を経て、1994年、BCG入社。2006~2013年、BCGジャパン・システム オフィス・アドミニストレーター(統括責任者)。2007年、シニア・パートナー&マネージング・ディレクター就任。2014年、BCGクライアントチームアジア・パシフィック地区チェア、2016年1月から現職。

 人工知能(AI)も含め、デジタル分野に関する技術で言いますと、たしかに遅れているかもしれません。しかし、希望がまったくないわけではないでしょう。

 ある日本企業の方から、こんな話を伺ったことがあります。その方が、アメリカのAI領域におけるトップクラスの研究者に「日本はこれから、どうやってデジタルの分野で欧米企業に追いついていったらいいのか」と質問したところ、その研究者はこう答えたそうです。「その部分は彼らにリードさせておけばいい」と。

 これはなにも「デジタルは諦めろ」という意味ではなくて、もっと自分たちの強みに着目しなさい、という意味でした。では、その強みは何かと言いますと、1つは「マスプロダクション」だと思います。

 アメリカの製造業は生産拠点を中国に移すなど極端なファブレス化を進めた結果、マスプロダクションをしていくための実験場さえない状態です。日本の場合は幸か不幸か、ものづくりを捨てきれず、国内に比較的多くの工場を残しています。今後、このものづくりの能力が大きな強みへと変わっていく可能性はあります。

 現在起きているデジタル化の波を「IoT」と呼ぶか、「インダストリー4.0」と呼ぶかは別として、その本質は何かと言えば「産業のデジタル化」です。ということはつまり、「デジタル」と「ものづくり」のどちらか一方だけを持っていても、それをリードする企業にはなれず、産業基盤であるものづくり力とデジタル化への対応力、この2つの組み合わせによって「強み」を最大化できた企業が次代をリードしていくフェーズに入った、ということです。

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