◎「自らカテゴリーをつくり、そのカテゴリーで唯一の存在になる!」ことです。
例えば、本にも登場している、私の弟分で一番弟子、仙台在住の松尾公輝という男がいます。
大学卒業後、ある広告代理店に就職しました。その会社の支社が静岡にあったことから、伊豆半島に近いということもあり、旅館、ホテルからの広告づくりや集客企画を多く依頼されるようになります。毎日忙しく、残業続きの中、身体を壊しそうになりながらも働き続け、結果、旅館やホテルに関しては誰にも負けない知識とノウハウを積んでいきます。
ある日、東北は仙台への転勤指令が出ます。出世とは縁のない、横滑りの異動です。
東北もまた、旅館、ホテルのメッカです。やはり依頼が引きも切りません。彼はそこでも実績を積み、旅館やホテルからの評価を高めていきます。
そんな中、彼はあることをやりました。それは、ひたすら旅館に泊まること。彼は、600泊1,200日、旅館に泊まる経験をしました。
つまり、スタッフとして内から旅館を見るのではなく、1人の客として、外部から旅館を見る。その視点を磨いたんです。旅館のコンサルタントはたくさんいますが、その多くは「旅館の経営者とかスタッフ」の出身です。つまり、お客さんとしての視点が決定的に欠けているわけです。
で、松尾氏の場合は、
●広告(コミュニケーション)のプロ
であり、加えて、
●お客さんのプロ
でもあるわけです。
旅館のオーナーは自分の旅館をよくしたいと思ってコンサルタントを雇う。するとその大半は旅館出身者なわけで、自分たちと大差ない知識とか、言わずもがなとか、釈迦に説法的なコンサルスタイルになりがちです。これでは不満なわけです。
が、松尾氏の場合は、旅館側がまったく知らない世界を知っている。コレ、他にはいないわけです。コミュニケーションの専門家であり、かつプロの宿泊客というポジションは、おそらく日本中で松尾氏だけのものです。つまり……そう、ライバルがいない。唯一無二の存在です。そのことが、彼の独立以来の快進撃を支えています。