私の履歴書 復刻版 坂根正弘

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2016/3/3  (1/2ページ)

 最初は大赤字から出発した私の社長時代だが、構造改革の成果と新興市場の成長でその後業績はV字回復し、2005年の秋ごろからそろそろ後進に道を譲ろうと考え始めた。「トップが変わっても、経営の基本線としてこれだけは踏襲してほしい」という後継社長への引き継ぎメモを書き始めたが、「待てよ」と思い返した。

日本語、英語、中国語の「コマツウェイ」日本語、英語、中国語の「コマツウェイ」

 引き継ぎメモを読むのは次の社長だけで、組織全体には伝わらない。コマツという会社の隅々まで浸透させるには、単なるメモではなく、社員全員に分かるような理念を作るべきではないか。こう考えて、できたのがコマツウェイの考え方であり、それをまとめた小冊子だ。

 第1章の「マネジメント編」は私自身が執筆し、第2章の「モノ作り編」は私が内心後継に決めていた野路國夫さんにまとめてもらった。「マネジメント編」には「取締役会の活性化」をはじめとして5本の柱があり、私はこれを実行することがコーポレートガバナンスだと思っている。その一つが「ビジネス社会のルールを遵守(じゅんしゅ)すること」だ。法令違反や不祥事をなくそうという趣旨だが、単に言葉を掲げるだけでは何も変わらない。そこで導入した施策の一つが「報告の順番はバッドニュースが先」の原則だ。

 コマツの事業責任者や子会社のトップは月1回、フラッシュレポートと呼ばれる報告書を社長に提出するが、そのレポートの一番上に「バッドニュース」を書かせることにした。コンプライアンス・環境・安全に関わる悪い報告を最初に書いた上で、品質問題や業績報告に入っていく。これを毎月繰り返していると、ルール順守の意識が自然に高まり、組織の体質や風土もいい方向に変わるだろうと期待している。

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