私の履歴書 復刻版 坂根正弘

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2016/3/7  (1/2ページ)

 前回私の社長時代に制定した「コマツウェイ」について書いたが、野路さんが社長になってから、コマツウェイにブランドマネジメント編が付け加わった。

ICTブルドーザーの前でICTブルドーザーの前で

 その中で、つくったモノを売るのが「セリング」、顧客のニーズに合ったモノを売るのが「マーケティング」、売れ続けるための仕掛けをつくるのが「ブランディング」と定義し、コマツでないと困る度合いを高めることで、お客様から選ばれ続けるパートナーを目指している。

 「コマツでないと困る」の代表が、オーストラリアとチリの鉱山で展開するダンプトラックの無人運行システム。掘り出した大量の鉄鉱石や銅鉱石を積み込み場から排土場まで効率よく運ぶ仕組みで、あらかじめ決まったルートを往復するだけなので無人走行に適しており、それをいち早く実用化した。

 そもそも鉱山の現場は辺境の地にあり、ダンプの運転手の確保は容易ではない。さらに人の運転にはどうしてもムラがあり、ムダなアクセルやブレーキを踏んで燃費が悪くなるが、自動走行だとスピード管理が完璧なので、燃料費の大幅な節約につながる。もちろん事故も発生しない。

 こうした鉱山会社にとっては、コマツはなくてはならない事業パートナーだ。ここまでお客様と深く組めれば、そう簡単にライバルに持って行かれることはない。

 逆に「コマツからは絶対買わない」という人もいる。資金繰りに窮して、ローンの返済が少し滞った時に、コマツは無情にも機械を引き揚げた。「だからコマツの人間には敷居をまたがせない」という建設会社の社長さんも実際にいらっしゃる。

 こうしてそれぞれのお客様との関係性を「コマツでないとダメ」というレベル7から、「コマツはダメ」というレベル1まで7段階に分類し、すべての顧客との関係性を1段階でも上のレベルに引き上げるのがブランドマネジメント活動の眼目だ。

 そのために商品力を磨くのはもちろん、サービス品質を上げたり、無人走行などの付加価値や新たなソリューションを提供したりと、企業としての総合力が問われる。

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