私の履歴書 復刻版 坂根正弘

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2016/3/10  (1/2ページ)

 デフレからの脱却が日本経済の大きな課題だが、コマツはいち早く脱デフレにカジを切ったと自負している。その最も分かりやすい例が商品価格だ。「値下がり」が当たり前の時代にあって、コマツは過去10年で建設機械の値段を20%ほど上げた。

デミング賞受賞の祝賀会(中央が筆者)デミング賞受賞の祝賀会(中央が筆者)

 「多少シェアは落としてもいいから、利益をしっかり確保しよう」と方針転換したのがきっかけだが、このことはダントツ活動のように商品やサービスの価値を高める努力につながってきた。同時に、部品メーカーなどいわゆる協力企業との取引慣行も見直した。

 毎年実施していた納入部品の原価低減をやめて、モデルチェンジなど部品図面を変える機会に知恵を結集して部品の値下げを求めることにしたのだ。

 これでグループ全体に利益が行き渡るようになった。ちなみにコマツには「みどり会」という協力企業を集めた組織があるが、そのうち約100社の外注企業の平均の売上高営業利益率は一時7%に達したこともある。コマツと協力企業が共存共栄で前に進む。それがあるべき姿である。

 最近の成果としては、粟津工場内に開設したダントツの節電を実現した新組み立て工場がある。今年5月に稼働したこの工場は、年間の購入電力量を旧工場に比べて生産量当たり9割減らすのが目標で、「異次元の節電」として多方面から注目されている。

 節電の中身は多岐にわたる。冷暖房は四季を通じて温度がほぼ一定の地下水を利用する。工場の天井を走るクレーンは、モノを降ろす時に発生する運動エネルギーを電気に転換して再利用することで、やはり節電につなげた。

 バイオマス発電システムも導入したが、地元の森林組合から調達する木材チップを燃やすので、二酸化炭素の排出削減はもちろん、地元雇用にも寄与する。粟津の成果を他の国内拠点に広げるのが今後の計画だ。

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